第10章 特例任務
唇を、阿近の唇でハムハムと食まれ、舌で舐められると擽ったさに腰が揺れる。
優しいキスにすぐに煙草の味なんて気にならなくなっていく。
触れるだけのキスじゃ段々と物足りなくなって、薄らと口を開けば阿近が喉を鳴らして笑った。
「オネダリが上手くなったな」
その言葉にカッと顔に熱が走る。
優しいキスも溶かされてしまいそうで気持ち良いけど、もっと阿近が欲しい。
そう思ってしまう自分ははしたないだろうか。
「ここがどこだか忘れてる訳じゃねぇよな?」
「あっ……」
「俺達の姿は人間には見えねぇが、誰1人見えない訳じゃない」
「っ、ごめんなさい……」
阿近の言っている意味を理解して、盛ってしまっていた自分が恥ずかしくて堪らなくなる。
物凄く居た堪れない。
良い歳して野外でなんてはしたない真似を……!
「良いな、その顔。興奮する」
後頭部に手を回されたかと思うと、そのまま唇が重なった。
驚いて固くした身体なんてお構い無しに、阿近はそのまま薄く空いた隙間に舌を滑り込ませた。
望んでいた熱に身体は喜び、小さな焔を灯す。
舌が絡まり、チュクチュクと淫らな水音を奏でる。
「はぁ……ン……」
行き場に困っていた私の腕を自身の首筋に巻き付けると、阿近はそのまま私の耳をその両の手で塞いだ。
周りの音が閉ざされ、驚いて目を開くと阿近の楽しそうに細められた目と視線があった。
自分達から鳴る水音がダイレクトに鼓膜を刺激し、恥ずかしさに唇を離そうとした。
「逃げんな」
耳元で低く低く囁かれ、吐息をたっぷりと含んだその声は私の腰に訴えかける。
ただのキスなのに。
自分の敏感なトコロを触られている訳でもないのに、身体が蕩けてしまいそうな快感に怖くなる。
「んん……はぁ、ん……」
ここが外だということも忘れて、夢中で自分から舌を動かす。
阿近は最初こそ驚いていた様子があったけどすぐに私のしたいようにさせてくれた。
私の舌の動きに合わせてチュクチュクと水音が大きくなる。
この時には恥ずかしさよりも気持ち良さの方が勝っていて。
溢れてしまった唾液が私と阿近の口端から滴る。