第10章 特例任務
穿界門を抜けると、尸魂界とは変わった風貌が現れる。
一目で現世と分かる街並み。
建物の形から地形、服装、全てが尸魂界とはまるで違っているからだ。
「とりあえずお2人と合流しましょう」
2人の霊圧を探りながら歩いていると、見知った建物の前に辿り着いた。
浦原商店。
つい最近もお世話になった、喜助くんが現世で営んでいるお店。
その戸を開け、中に声を掛けると可愛らしい女の子が出て来た。
この子前来た時居なかったような……喜助くんの隠し子?
その割には凄く可愛らし過ぎる気がする。
「こんにちは。私は神咲と言います。
店長居らっしゃいますか?」
私達が見えている様子があったのでそのまま自己紹介をして喜助くんを呼んで貰う。
女の子は私の顔をしばらく見つめたあと、小さく頷くと奥へと走って行った。
*****
「どうしたんスか、雨。綺麗な死神が来てるって……千早サン達でしたか。
随分と早かったっスね〜」
大きな欠伸をした喜助くんが奥からゆっくりと歩いて来る。
「あの、喜助くん」
「お話は伺ってます。って言うか千早サンが適任だと進言したのもボクっスもん。
ささ、皆さんもどうぞ中に。お2人がお待ちっスよ〜」
私が適任とは一体どういうことだろうか。
私の斬魄刀と相性の良い相手なのだろうか。
それ以外に私を選ぶ理由がない。
「あら、阿近サンじゃないっスか!
お久しぶりっスね〜、随分と大きくなって。
あの頃はあんなにちっちゃくて可愛かったのに」
「いつの話をしてんすか」
阿近が隠しもせず、盛大な溜め息を吐く。
通された茶の間ではすでにお2人が座っており、先程喜助くんにウルルと呼ばれた女の子がお茶を出してくれる。
「さて、全員揃ったことですし状況を整理しましょうか。
まず今回の虚の異常発生は自然に起こったことではなく、何者かの手によって故意に引き起こされたこと。
詳しいことはまだ突き止められていませんが、奴……仮にXとでも呼びましょうか。
Xは自在に虚を出現させることが出来、その虚の力もギリアン級のものがほとんど。
このまま野放しにしておくと世界の均衡が崩れます」