第9章 本格始動
隊首会後、隊士達への顔合わせと各隊へ織羽と挨拶回りを終える頃には正午を回っていた。
織羽にはそのまま昼休憩に入って貰い、私は書類仕事をする。
週末に比べて週明けは書類が多く回って来る。
中には重要案件も含まれていることがある為、書類仕事を始める前に予め軽く目を通しておく必要があるのだ。
「休憩戻りました」
「おかえり。じゃあ午後は本来の仕事をしよっか。
やることは主に書類整理。
各隊から回って来る書類をひたすらこなしていくだけ。
重要度に応じて割り振ってあるから、基本的に書類配りは他の隊士に任せて大丈夫」
机に積まれている書類の山を見てゴクリと唾を飲む織羽。
「今日はちょっと多めだけど急ぎのものはあまり多くないし、慣れるまでゆっくりで大丈夫よ。
何か分からないことがあったら遠慮なく聞いてね」
「はい!」
軽い説明を終えて、止めていた手を再開させる。
急ぎのものが多くないのは副官以下の書類の話で、私のところにはそれなりの数がある。
まぁこのぐらいの量なら定時までには終わるかな。
こまめに小休憩を挟みつつ書類をしていると、気が付けばいつの間にか定時を過ぎていた。
「あ!ごめん、織羽。今どんな感じ?」
「急ぎの書類はもうやり終えて配って貰ってます。
あとは期限の少し先の物ですかね」
ふと織羽の机を見て、ひとつ大事なことを伝え忘れていたと声を上げる。
そうだ、肝心なこと言ってない。
「急ぎがないなら、キリの良いところで上がって良いよ。
ごめんね、言い忘れてた。
基本うちの隊は書類が一枚もなくなることは無いから、どこかで区切りを付けてあがらないと帰れなくなっちゃうの。
今ぐらいの量だったら明日に回しても問題ないからあとは織羽のタイミングが良い時に上がってね」
一番始めに言うべきだったのに、すっかり忘れてた。
基本的に常に書類が回って来る隊だから書類を全てやってから終わり、という概念が存在しない。
全部なくなるまで仕事をしてたら何日も帰れない。
「そうだったんですね、分かりました。
ではここまで終わらせたら上がります」