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【BLEACH】闇夜に咲く花

第9章 本格始動


「……んなに見てねぇで、やりたいことがあるならやれ」



食器を洗う阿近の広い背中を見つめていれば、声を掛けられた。
背中越しで一度も振り返ってないのに、なんで見てたって分かるの!?
びっくりして変な声が出た。
そんな私の声に阿近は小さく喉で笑う。
そんなところもカッコイイなぁ。



「じゃ、じゃあちょっとだけ……」



後ろから邪魔にならないようにゆっくりと阿近の背中に抱き着く。
朝だからか煙草の匂いはまだしないけど、柔らかな匂い。
紛れもなく阿近の匂い。
鼻先を服にくっ付け、深く吸い込むと胸が満たされる。



「今日も頑張れそう」
「そりゃ何よりだ」



洗い物を終えた阿近が水を止め、身体の向きを反転させると向かい合う形になる。
自分から抱き着いておいて言うのも変だけど、凄く恥ずかしい。
赤くなった顔を見られたくなくて阿近の胸板にグリグリと頭を押し付けると、猫かよと笑われた。



「今更隠しても遅いだろ」
「だ、だって……」
「時間、良いのか?」
「へ?……あっ!」



阿近の言葉に一瞬時間が止まる。
良くない、遅れちゃう!と慌てて玄関に向かい草履を履く。
草履を履き終え、戸締りだけよろしくねと阿近に声を掛けると腕を引かれ、バランスを崩した。
倒れる。
そう思って目を瞑るけど一向にその衝撃は訪れず、代わりに唇に柔らかな感触があった。



「行って来い」
「っ、い、行って来ます!」



朝から刺激が強過ぎる。
熱の引かない顔を冷ますように足早に歩いていく。
朝シャワーを浴びている時に気が付いたけど、死覇装の襟でギリギリ隠れるような際どいところに噛み痕がついていた。
戦闘で乱れたりとか、着替えたりしなきゃ見えないところだけど、誰かに見つかってしまわないかヒヤヒヤしている。



「帰ったら阿近に注意しないと」



嬉しいような、恥ずかしい阿近への不満。
それを感じている自分に幸せを感じる。
今日は朝から隊首会。
副官は特に任官式とかはないけど、一応各隊の隊長には隊首会で紹介される仕組みになっている。



「おはようございます、千早様」
「おはよう、織羽。緊張してる?」
「はい」



隊首室に入る手前、廊下を曲がったところで声を掛けられた。
その顔色は心なしか青白い。
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