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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第8章 私と圭介と初日の出ツーリングと


「……ちゃんは昔の俺を知らねぇからンなことが言えんだ」
「そりゃそうよ。だって一ヶ月ちょいの付き合いだし」
「俺はいつもいつも大事なやつらを傷つける」

 私の肩に顔を埋めて呟くように言葉を吐き出す圭介の背中に、そっと手を回す。小さい子にするように背中をさすってあげれば、私を抱き締める力は更に強くなった。

「俺は間違ってばっかだ……」
「ふぅん。じゃあ、千冬さんや一虎とペットショップで働くのは間違いだったの?」
「それは……」
「私と出会ったのも間違いだった? 出会わない方がよかったって思ってるの?」
「……ンなこと思うわけねぇだろ」
「じゃあ間違いばっかってのは嘘ね」

 ふふ、と自慢げな笑い声を響かせた私に圭介はまだ納得がいかないご様子。今までずっと悩んでたぐらいなんだから、すぐにそのわだかまりがなくなるなんてことはないんだろうな。それはきっと仕方のないことなんだろうけど、そのままじゃなんだかもったいない気がしてしまうのは私だけかな?
 圭介にはもっと笑っていてほしいと思うのはワガママかな?

「間違うことあるよ、人間だもん。だけどそればかりに気をとられて今を大切にできないのはもったいないと思うよ」
「……」
「昔の圭介のことは知らないけど、今の圭介のことならちょっとはわかる。ペットショップにいるあなたたち三人を見て、間違いだなんて思う人は誰もいないと思うなあ」
「……おう」
「過去をなかったことにはできないけど、過去に囚われる必要なんてないよ。圭介には今を幸せに生きる権利があるんだから」
「……もうちょっと。もうちょっとこのままでいさせてくれ」
「お好きなだけどうぞ」

 いつの間にか完全に顔を出した太陽を見つめながら、圭介の髪の毛くすぐったいなぁなんて場違いなことを考える。というかそうしないと私が落ち着けない。まさか抱きつかれるとは思っていなかったから、私の心臓のバクバクが圭介に伝わっていないか心配だ。なんとかして落ち着かせたいけど、これなんて無理ゲー。
 余裕ぶって好きなだけどうぞとか言っちゃったけど、三十秒とかにしとけばよかった。
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