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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第8章 私と圭介と初日の出ツーリングと


「黒い毛が似合っててよ」
「う、うん」
「目がくりくりなンもかわいーんだよ」
「ほ、ほう」
「チャッピーって名前なんだけどな」
「か、可愛い名前だね。何かワンちゃんみた──」

 そこまで言って、はたと気づく。もしかして、もしかすると? そう思って圭介の顔を見やればにっこりと人好きのする笑みを浮かべて「可愛くて大好きなんだワ。店にいるチャッピー」と言葉を放った。

「……はー! っんとにもう!」
「はは! ちゃんは素直だな。アクトクショーホーとか気を付けろよ」
「そんなん引っかからないから。今だって圭介の言葉だから信じたのよ」

 それなのにもうっ。と悪態付けば圭介は切れ長の目を少し見開いて、パチパチと瞬きしている。私、そんな変なこと言ったかな? 眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔をした私を見た圭介は、ふはっと吹き出した。かと思えば、機嫌良さそうな声色で「ペヤング食おうぜ」とペヤングを食べ始める始末。
 誰かこの人の脳内を見られるようにしてくれないかな。何考えてるか全然わからないわ。

「圭介にはさ」
「ア?」
「五ヶ月くらいの子がお似合いだと思うよ。精神年齢的に」
「そんな低くねーワ」
「えー? どうだかなぁ」
「二十七歳ナメんなよ」

 そう言いながら一口食べたペヤングを「ん」と私に差し出してくる圭介に小首を傾げる。ペヤング半分こじゃなかったのかな? これだと九と一分こだけど。じーっとペヤングを見ながら「こんなに食べられないんだけど」と心の内を明かせば「ハア!?」と大きな声が店内に響き渡る。お店の人にじろりと見られ、頭を下げてうわべばかりの謝罪をしている私を、圭介は今にも噛みついてきそうな形相で見てくる。
 
「半分コは一口ずつだろーが!」
「何そのマイルール」
「ジョーシキだろ!」
「精神年齢五ヶ月の常識を言われてもなぁ」
「ンのやろ……」
「はは、うそうそ。それにどっちにしろ半分も食べられないよ。モーニング入らなくなっちゃう」
「ちゃんほっせぇンだからもっと食え」
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