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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第8章 私と圭介と初日の出ツーリングと


 ほとんど車通りのない道をゴキで走り抜ける。私の前で私のシャドウを走らせる圭介の背中を見ながら、後ろをついていく。自分の愛機の後ろ姿を見ながらバイク乗る日が来るなんて思わなかったな。

「あっこのコンビニ寄るぞ!」
「はーい!」

 信号で止まった間に最低限必要な会話だけをしてから、もう一度バイクを走らせる。ゆっくりと減速して駐車場へとバイクを止め、一段落。ぐーっと伸びをしてからヘルメットを外して、頭を軽く振る。ヘルメットすると髪の毛がぺちゃんこになっちゃうんだよねぇ。

「シャンプー終わった犬みてぇ」
「私は駄犬らしいかは噛まれても文句言わないでね」
「根にもってんなァ」
「おやつにあたりめ買ってくれたら忘れてあげるわん」
「この犬、ほんとしつけなってねーな!」

 おら! と私の頭を両手で撫でる圭介によって、私の髪の毛は一瞬でボサボサへと変貌する。めっとのせいでただでさえボサボサたったのに! 仕返しだとばかりに私も両腕と足を伸ばし、圭介の頭を同じように撫でくり回す。撫でくり回したのに──。

「サラツヤすぎてボサボサにならない……!」
「あぁ?」

 撫でくり回してもサラサラともとの位置に戻っていく黒髪を見ながら、眉根を寄せる。どうしたらこんな髪の毛になれるのよ……私なんかこの間、髪の毛同士が絡まりまくってどうしようもなくなったからハサミでちょん切ったっていうのにさ。
 神様が不平等すぎる。圭介にいろんなもの与えすぎだよ。その影響で学力が全部持ってかれたみたいだけれど。可哀想に、ナムナム。

「おい。何かよくねェこと思ってんだろ」
「そんなことないよ? 神様は圭介にいろんなもの与えすぎだよなぁと思って」
「はァ? なんだそれ」
「その代わりに頭が残念になっちゃってるみたいだけど」
「よし、喧嘩売ってンのはわかった」
「あはは」

 少しご立腹な圭介を横目にコンビニの自動ドアをくぐるれば、エアコンの暖かい風が冷えきってしまった私を歓迎してくれた。じん……とした暖かさが指先から徐々に広がってきて、痺れるような感覚を覚える。
 ここが天国かぁ……暖かい。ついでに胃も温かいもので満たしたい。肉まんとミルクティー買っちゃおうかなぁ。むむ、コーンスープも捨てがたい。
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