【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第7章 私と場地さんと年越しと
「私がいつ二人きりは不満だって言った? あ?」
「……言っへまへん」
「よね? そうよね?」
「ひゃい」
「そもそも場地さんは、私が不満のあるような人とのデートをオッケーするような、心の広い女だと思ってんの? お?」
新年早々、私はなぜメンチを切ることになってしまったのか。なんか波乱の一年になりそうで嫌だなぁ。あれもこれもそれもどれもぜーん場地さんのせいだ!
すっと手を離してあげると、すりすり頬を擦りながら「ワリィ」と少ししょんぼりしながら謝ってくれた。何でこんなこと言い出したのか全然わからないけれど……悪い気分はしないからいっか。
「そうだよな……」
「うん」
「よく考えたらちゃん、心狭いもんな」
「言葉のチョイスをもっと考えなさい」
「カダイヒョーカしてたワ」
「それに関しては私のこと過小評価し過ぎよ」
肘で小突くと、さっきまでの無表情はどこへやら。カラカラと笑いながら私の頭へ、自分の頭をぐりぐりと押し付けてきた。可愛く言えば主人にすり寄る猫のようだけど、ぐりぐりする勢いがよすぎて髪の毛はボサボサになるし、地味に痛い。
場地さんの気分の浮き沈みのスイッチがよくわからないけど、とりあえず機嫌が良くなったみたいでよかったわ。
「あ、圭介さぁん!」
何もよくなかった。私の情緒が終了のお知らせです。
「先輩もいたんですねぇ」
「あ、うん。まぁね」
私はついでか。
──そう言えば仕事場のみんなで初詣どこに行くか話してたときに、私も行き先をポロッと言っちゃったような気がするわ……。菅野さん「彼氏とどこに初詣行こうか悩んでてぇ」って確か言ってた気がするわ……。
波乱の一年になりそうって言ったけど、フラグの回収が早すぎるのよ! 私はこんなの求めていないんだけど! ガッデム!
「あなたたちも初詣に来てたのね」
「そうなんですぅ、張り切って着物着てきちゃいました! ……先輩はオシャレしてこなかったんですかぁ?」