【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第7章 私と場地さんと年越しと
「どうしたの?」
「甘酒一つでそんなに喜べるとか幸せなヤツ」
「馬鹿にしてるの?」
「羨ましーなァ」
「よし、歯ぁ食いしばれ」
「新年早々ブッソーだな」
「なになに? お前らケンカップル? ずっと手ぇ繋いじゃって仲良しじゃん」
一虎さんに指摘されてパッと手を離す。わ、忘れてた。その場の勢いで繋いだままだった……。チラッと場地さんを伺い見るものの手を繋いでいたときも、離したときも変わらず飄々としていて、気にしたのは私だけなんだなぁと少し残念になる。ま、仕方ないんだけどね。
甘酒の順番が回ってきたので、簡易的な紙コップに入ったそれを受けとればじんわりとした温かさが手のひらに広がっていく。うん、いい匂い。舌を火傷しないように、そーっと口元へ甘酒を運んで、ごくりと一口。お米と麹の柔らかな甘さが私の口内に広がって、なんとも言えない幸せな気持ちになる。……うん、美味しい。
「さん、美味しそうに飲みますね」
「だって美味しいもん」
「美味しそうに飲み食いする女性いいですよね」
「千冬さん好き、ほんと好き。一生推す」
「既視感すごいッス」
「お姉さんがベビーカステラでも奢ってあげようか?」
「ちゃん、俺焼きそば」
「俺はフランクフルトー」
「ちょっとロン毛たちは黙ってて」
とか言ってみたものの、三人のお陰でこうやって楽しい年末を過ごせたわけだし、ちょっとくらい買ってあげるか。そう思って場地さんと一虎にはお願いされたものを、千冬さんには何がいいか訊いたものの「そんな気ぃつかわなくても大丈夫ですよ」と言われたのでベビーカステラを押し付けておいた。しかも一番大きいサイズのやつ。
私が「半分こね」と千冬さんに言えば、千冬さんは、はにかんだように笑って頷いてくれた。見た目は猫っぽいのに中身の犬っぽいところがギャップ萌えです、はい。
「ベビーカステラ久しぶりに食べたかも」
「俺もです」
「千冬ぅ、俺にも一個ちょーだい」
「こら。場地さんには焼きそば買ってあげたでしょ?」
「ア? 一個くらいいいだろ」
「だめー」