【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第7章 私と場地さんと年越しと
冬は寒いのでヘルメットもフルフェイスに代えて、グローブもガントレット使用で袖から入る風をシャットアウト。その他にもインナーや靴下は暖かいもの選んで……と完璧に防寒対策をしてきましたよ。私がんばってる。
「なァ」
「んー? なに? 場地さん」
「ちゃんも唐揚げ食う?」
「食べます」
「ふはっ、即答」
いつのまに買ってきたのか、紙コップに入った唐揚げを手にした場地さんと一虎さんはもぐもぐと忙しそうに口を動かしている。そう言えば居酒屋でも唐揚げ頼んでたよなぁ……場地さん唐揚げ好きなのかな。
そんな場地さんの唐揚げをひとつ貰おうと手を伸ばす──よりも早く、私の口元にズイッと唐揚げが一個近づけられた。爪楊枝に刺した唐揚げを、場地さんが私のところまでご丁寧に運んでくれたようだ。
「ん」
そんないい顔で「ん」って言ってるけど、これが俗に言う「あーん」だってことに気づいているのだろうか、この人は。爪楊枝ごと唐揚げを貰って自分で食べようかとも悩んだけど、ここは場地さんの好意に甘えておこう。決して下心があるわけではない、決して。
あーんと大きく口を開けて、唐揚げを一口で放り込めば「口でっか!」と目の前の場地さんがおかしそうに笑った。余計なお世話よ。
口の中で咀嚼すればじゅわっと鶏の油が口の中で広がって、一気にお腹が満たされた感覚に陥る。うまーい。鶏の唐揚げうんまーい。
「ー、俺の唐揚げもあげる」
「何呼び捨てにしてんのよ。私も一虎って呼ぶぞコラ」
「にだったら別にいいよ」
「よくない、年上は敬え」
「えー? 怒ったら可愛い顔が台無しだよ、」
「こいつ今からひんむいていい?」
「女の子がひんむいていいとか言うんじゃありません」
「女の子扱いしてくれるの千冬さんだけだよお!」
えーん! と大袈裟に泣き真似しながら千冬さんにしがみつけば、困ったように笑って頬を掻いている。千冬さんの困り顔可愛いから、ついつい困らせたくなっちゃうんだよねぇ。他の二人は私が泣き真似をしながらくっついたとしても、多分表情筋死んでんの? くらい無反応だろうから。
千冬さんは私の癒しだぁ。アニマルセラピーならぬ、千冬セラピーだよ。あと単純にしがみついてると暖がとれて温かい。