【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と
っておいこら場地さん。洗濯するかどうか訊いてから洗濯してほしかったよ。そう思っても後の祭り。水浸しになった服もう一度着る勇気はないのでおとなしく用意してもらったトレーナーに袖を通す。丈も襟ぐりも袖もぶかぶかなソレはいわゆる彼シャツのようで……なんだこのけしからん感情は。煩悩滅却、南無阿弥陀仏。
ていうかスウェットがヤバい。両手で掴んでいないとすぐにずり下がってくるし、かと言って履かないと履かないでかがんだりするとパンツ見えちゃう。……とりあえずしっかり手で掴んどくか。
「場地さーん」
「お、出たか」
「ドライヤーってどこにあ──んえ!?」
明かりの漏れるリビングにいた場地さんは洗濯物を干している最中だった。だったんだけど……場地さんが手に持っているものを見て思わず変な声をだしてしまう。だって……だって……場地さんがその手に持っているのは、紛れもない──。
「パ、パパ」
「ア? 俺はちゃんのパパになったつもりねーぞ」
「パパパンツ! 私のパンツッ!」
「おー。今日は薄紫なんだな」
「あ、そうなのそのラベンダー色に一目惚れして……って違う! レディのパンツを勝手に干さないで! 鷲掴みしないで!」
イケメンに私のパンツ鷲掴みされてるって、これどんな状況よ! ひぃん、パンツ! 私のパンツ!
ってちょっと待ってブラも……ブラジャーももうすでに干されているんですが! 今日は命日か? 私の命日なのか? 精神的な。
「洗濯しねーと履けねぇじゃん。下着は手洗いって書いてあったから手洗いしといたぜ」
「自分でやるからあ! って、は? 下着手洗いしたってナニ!? ぎゃ! 手ぇ離したらスウェット落ちる! スウェット落ちるッ!」
「夜中だからもうちょっと静かにできね? お隣さんに壁ドンされるワ」
「それはホントごめん! 静かにするからとりあえずパンツ返して! そこに干してあるブラも!」
「もう今さらじゃね?」
「今さらじゃないから!」