【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と
ガチャガチャ。ポケットから鍵を取り出して家へと続く扉を開けてくれた場地さんの手が、私の手からするりと離れていった。うん……予想の範疇、予想の範疇。寂しがる必要なんてない。
二度目ましてな場地さんのお家……って言っても一回目は意識なかったから実質一回目みたいなもんだけれど。お邪魔しまーすと一応声をかけてから先ほど私たちがいたリビングへと足を進める。
不必要なものがないスッキリとした部屋は、人間関係もサッパリしている場地さんらしいなーなんて変に納得してしまう。ちょっと私の部屋もこざっぱりとキレイに片付けに来てくれないかしら。何かもったいない! と思っていつも捨てられないのよね。
場地さんに断りを入れてからお風呂場へと直行。着ていた服を全て脱ぎ捨ててシャワーを浴びる。体の汚れと一緒に、この気持ちも全部流れ落ちていったらいいのに。なんてね。
「……シャンプーとかも買ってくればよかったかな」
いつも私が使っているボディソープやシャンプーとは違うそれを見て、使おうかどうしようか少し迷う。申し訳ないとか、そういう気持ちではない。ただ場地さんと同じシャンプーを使うということになんだか気がひけちゃうだけ。……同じシャンプー使って喜んでるとか、なんか変態みたいなんだもん。
とは言いつつ、体も髪の毛も洗いたいから借りちゃうんだけどねー。目を閉じてわしゃわしゃと髪の毛を洗いながら、場地さんの匂いする……なんて考えている私は本当に変態だ。ヤバい。こんな私、知りたくなかったわ。泣けるー。
「……あ。そういや私、着替えないじゃん」
シャワーのお湯を止めながらどうしたものかと考える。んー……嫌だけど、仕方ないから同じ服着るか。今日の昼までの我慢だしね。そう考えて風呂場を後にして、ヒタヒタと脱衣所へと続く扉を開ける。すると、確かにそこへ脱ぎ散らかしたはずの洋服がなくなっていて、代わりに長袖のトレーナーとスウェットが置かれていた。
なぜ? と不思議に思ったのもつかの間。私の疑問は隣で音を立てながら回っている洗濯機のお陰ですぐに解消された。