【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と
「どうした?」
「ほんっっっといい性格してるわね」
「ウブなちゃんには刺激が強かっいっでェ!」
「あらーごめんなさーい、足が滑っちゃったわー」
普通に腹が立ったので、場地さんのながーーーいおみ足をこれでもかと思いきり踏んづけてやった。そのうち背後から誰かに刺されるぞ、この男は。
未だに指が絡められた、いわゆる恋人繋ぎと言われる手の繋ぎ方をしている私たち。さっきより体温が上がった気がするのは気のせい、だといいな。
「ちゃんさ」
「んー?」
「結婚したいの?」
「したい」
「ふはっ、即答」
「だって、好きな人とずっと一緒にいられるんだよ? それって幸せなことだよね」
「鬱陶しいとか思わねェの? いくら好きだろうがずっと一緒なんてよ」
また私のことからかって遊んでるんでしょ? と睨んでやろうとして、止める。あまりにも場地さんの顔が真剣だったから……さすがの私にも茶化すことなんかできなかった。
「……鬱陶しいと思うこともある、と思う」
「ならなんで一緒にいたいと思うんだ?」
「鬱陶しいと思うことよりも、楽しいと思えることの方が多いはずだからさ。私は好きな人との楽しい思い出を大切にしていきたいの」
「……」
「それに楽しいを好きな人と分かち合えるのって、最高じゃない?」
「分かち合う……」
「うん。私が好きなものを一緒に楽しんだり、相手の好きなもの教えてもらったり、そういうのが楽しめる関係性って素敵だなーって思うの」
元カレとはそういう関係性になれなかったけど、まだ私にもチャンスは残ってるかなぁ。できることならこれからも一緒にいるのは──。
ちらり、とバレないよう横にいる彼を盗み見る。過ぎた思いだって知っている。場地さんが私に興味ないことも。彼が私に接するその態度は、どう見ても友だちのソレだ。だから私もそう接する。じゃないとこの関係はきっと終わってしまうから。