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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と


「そう怒んなって」
「怒ってませーん。あークリスマスなんだならいい男落ちてないかなあー!」
「犬のクソみたいに言うなよ」
「もっといい例えなかったの?」
「ねぇな」
「ボキャブラリーの無さよ」
「へーへー。ほら、帰るぞ」

 ン。と言って差し出された場地さんの手を凝視する。少し考えたものの、どう対応するのが正解かわからなくて、ワンちゃんがお手をするようにポンッと自分の手を重ねたら「ンでだよ」と言われてしまった。どうやら不正解だったみたい。
 違ったみたいだし、このままだと迷惑かな? なんて思って手をひっこめようとしたけど、場地さんに力強く手を握られて、それは叶わなかった。挙げ句のはてには奪い取られるようにして、私の持っていた買い物袋を持っていった場地さんを見て、この手は荷物を貸せってことだったのか。と納得した。
 繋がれた手はそのままに、コンビニの外へと二人揃って出れば、冷たい風が吹きつけてきて同じタイミングで身震いする。

「さみぃ……」
「真冬だもんね」
「エアコン入れてくればよかったな」
「確かに。──あ」
「ア?」

 場地さんと繋いでいた手を私のコートのポッケへと勢いよく突っ込む。外に出てすぐだったので、コンビニで温まっていた私たちの手はポケットの中でじんわりと熱を持っていく。

「これで片手は寒くないでしょ? ちゃんからプレクリスマスプレゼントです」
「子ども体温だな」
「健康的でしょ」
「ガキじゃん」
「言い方に気を付けたまえ。ひんむくぞ」
「ちゃんこそ言い方に気を付けた方がいいと思うぞ」

 うるさい。と場地さんを一蹴してからぎゅうぎゅうと力任せに手を握れば、痛い痛い! とわりとガチで痛がられてしまったし、ミシッと骨が軋む音がした。気がするのは、きっと気のせいだ。うん。
 ふふん。と上機嫌に鼻を鳴らした私を場地さんがジーッと見つめてきたかと思えば、繋いでいる方の手をゆるりと動かして指を絡めてくる。──って、は?
 思わず場地さんを見やれば、意地悪く口の端を上げて私のことを見下ろしていた。こ、この人は……!
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