【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と
「オマエ、なんか失礼なこと考えてんだろ」
「何でわかったの?」
「顔に出てる」
「マジか」
暗がりでもわかるレベルで顔に出てるとは、私もなかなか自分に素直ね。場地さんはもう一度大きな欠伸をすると、ヨンフォアと呼ばれた猫ちゃんを抱き上げて喉元を撫で始めた。ゴロゴロと喉を鳴らしながら嬉しそうに目を細めているヨンフォアが可愛すぎる。
いとおしそうに目を細めている場地さんに「ちょっと出かけてくる」と声をかければ、片眉を吊り上げながら「こんな時間にどこ行くんだよ」と呼び止められた。
「お泊まりするにも歯ブラシとか下着とかないからコンビニで買ってくる」
「予備の歯ブラシならあるぜ。パンツとブラはねェけど」
「あったら逆にドン引き」
「俺はちゃんが二連チャンで同じパンツ履いてても引かねェから安心しろ」
ニマニマと意地悪く笑う場地さんの頭をスパンと叩いたらいい音が鳴った。引くだろ、同じパンツ二連チャンは引くだろ。
そんなことを思っていると、ヨンフォアを床へと置いた場地さんはぐっと伸びをしてからダウンジャケットへと手をかけた。……もしかして。
「一緒に来てくれるの?」
「おう。心配だしな」
「場地さん……」
「ちゃんが誰か殴り飛ばさないか」
「あ、そっち」
私の思っていた心配のされ方と随分違うのですが。しかも前科があるから何も否定できない。ぐぅ……と言葉につまって立ち止まっていると「行かねーの?」と声をかけられてしまった。行くわ!
少し唇を尖らせながらコートを羽織って場地さんの後をついて歩いて外に出ると、一気に冷たい風が吹き抜けてきて思わず身震いすした。同じように体を震わせている場地さんの背後をピタリと陣取る。ちょっとでも私の風避けになってくれ。
「何してンだよ」
「場地さん大きいから風避けになるかなって」
「は? ズリィ! 俺だってさみぃのに!」
「年上を労りなさい」
「こんなときだけババア風ふかせんな!」
「ぶん殴るぞ」