【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第6章 私と場地さんと場地さんみたいな人と
なんだかいつもとベッドが違う……そう思って体を起こし、辺りを見回したところで一気に覚醒する。──えっ? ここどこ?
見たこともなければ来たこともない、まったく見に覚えのない部屋で私は寝ていた。
「……え? ここどこ?」
部屋の中を見回してわかったのは今が午前三時だということ、どうやら男の人? の部屋だということ、私はちゃんと服をきているということだ。
私、場地さんと飲んでいたよね? そのあと頭撫でられて眠くなって……あっ! 焼き鳥! 焼き鳥を場地さんに渡していない!
クリスマスプレゼントとしては色気も何もないかもしれないけど、私からのプレゼントという意味では、とても私らしいクリスマスプレゼントだったのに。
濃い青や黒を貴重とした、落ち着いた配色のこの部屋の家主はどこに行ったんだろう──っていうか家主誰? 服着てるから大丈夫だと思うけど、ワンナイトラブとかしてないよね? 私。
「……トイレ」
寝る前までお酒を飲んでいたからか、急にトイレに行きたくなってきた。これは由々しき事態である。人様の家で漏らすわけにはいかない。そういうプレイは死んでもごめんだ。まったく状況把握できていないけれど、私の尿意は把握している。とりあえずトイレを探さなければ。
寝ていたベッドから降りて、だいぶ暗闇に慣れた目で次の部屋へと続く扉を開ける。カチャッと小さくドアノブの音が、静かな空間に響き渡るけれど、それ以外は何も聞こえない。キョロキョロと辺りを見回すと、人がソファに寝転がっているのが見える──けど今はそんなのどうでもいい。漏れる。
「ここかな」
カチャリと開けたら脱衣所だった、残念。向かいの扉を開けると、やっと待ち焦がれていたトイレを発見できて胸を撫で下ろす。、二十九歳。粗相をせずにすみました。神様ありがとうございます。
用を足して、先ほど誰かがいた部屋へと抜き足差し足で戻る。忍ぶ必要はないのかもしれないけれど、誰の家かもわからないところを勝手にうろちょろと歩き回るのはなんだか罪悪感が沸いてくる。世紀の大泥棒さんとか、こんな気持ちで仕事していたのかしら? なんてしょうもないことを考えながら、静かに静かにソファを覗き込む。
そこに寝転がっていたのは──場地さんだった。