【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第2章 私と場地さんとパンツと
XJランド……ネーミングセンス死んでんのかな。流行らなそうな遊園地みたいな名前してるんだけど。あーでも、動物に癒されるのはありかも。私の荒んだ心をアニマルセラピー的な感じで浄化してくれるかもしれない。
いい子がいたら連れて帰るのもありかもしれないなあ。どうせ今から暇人だし。デートの予定入らないし。誰か合コン組んでくれー。なんて心の声は奥底にしまいこんで、扉を押して中に入る。生暖かい暖房が私を歓迎してくれた。
「いらっしゃーせー!」
──ペットショップには似つかわしくない元気な男の人の声も一緒に。
「猫とか犬だけじゃないんだ」
ヘビとかトカゲのは虫類もいる、可愛い。目がクリクリしてて──あ、瞬きした! 私の目もこれくらい大きくてクリクリしてたら、もっと可愛げあったんだろうなぁ。は虫類にすら顔面で負けてる私、ほんとツラい。
ジッ……とは虫類コーナーのところでしゃがみこんでトカゲを見ていると、背後から「お」と低く落ち着いた声が聞こえたので、少しだけ振り返る。声をかけてくれたのはここの店員さんのようで──可愛いエプロンをつけ、つり上がった太い眉と切れ長の目が特徴的な男の人。少し癖のある綺麗な黒髪を後ろで緩く三つ編みにしているのを見ると、まあまあの長髪さんみたい。
その男の人は私の隣にしゃがみこんだかと思うと、トカゲのゲージを開けて「触るかぁ?」って言いながらトカゲを出してくれた。
「ヒョウモントカゲモドキつって、人気なんだぜ。ほらよ」
触る。なんて一言も言っていないけれど、黒髪の定員さんは私の手にヒョウモントカゲモドキを乗せてくれる。ちょ、待って! 心の準備とかさせてもらえないの!?
初めて触るトカゲにどうしたらいいものかとオドオドしていると、隣から笑い声が聞こえてきた。ちらりと盗み見ると大口を開けて笑う店員さんがこっちを見ている。……笑いすぎじゃない? なんてムスッとしていると、今度はじーっと瞳を見つめられる。顔面偏差値高すぎだろ。なんて思いながら見返していると、店員さんは三度ほど瞬きをしてから大きな声をあげた。