【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第5章 私と場地さんとクリスマスイブと
「おじちゃん! 来たよ!」
「ちゃん! いらっしゃい。今日はずいぶん男前な人連れてるな」
「でしょ? オマケしてよ」
「美人なお姉さんならなー」
「ちょっと場地さん、今から女装してこよっか? 絶対似合う気がする」
「オマエは俺を何だと思ってンだ」
場地さんに真顔で言われてしまい、ちっと小さく舌打ちをする。「舌打ち聞こえてっからな」と言われた気がするけど、きっと気がするだけだ。うん。
おじちゃんに案内されて、カウンター席の一番端へと移動する。ここの焼き鳥屋さんが大好きでよく来るんだけれど、空いているときいつも端のカウンター席に通してくれるおじちゃんはとても優しい。いつもありがと。
「おじちゃん、いつもの!」
「はいよ。兄ちゃんはどうする?」
「あーちゃんと一緒ので」
「えっ、内容わかんないのに一緒でいいの?」
「おー。ちゃんがうまいつったモンだいたいうまいから」
そう言いながら笑った場地さんと私の前に熱燗が差し出されて思わず「わあ!」と感嘆の声が私から上がる。続いてぼんじりにねぎま、せせりが出てきたので熱燗を自分のと場地さんのお猪口へと注ぎ入れる。はい、おいしい。もうおいしい。
「あんがとな」
「いーえ!」
「ほんじゃ今日もお疲れ」
「場地さんもお疲れー!」
乾杯! とお互いお猪口を少し上げてから熱燗を煽る。ぷはー! と同じタイミングで息をはいた私たちはお互いの顔を見合わせて、シシシっと悪戯が成功した子どものように笑いあった。会社の飲み会とかは苦痛だけど、場地さんとの飲み会は楽しいから大好きだわ!
ふんふーんと鼻歌を鳴らしている私の隣で「おっちゃん、ぼんじりうめー!」と嬉しそうにしている場地さん。……気になってたこと訊いてみよっかな。
「ね、ね、場地さん」
「ん? どーした」
「菅野さんへの当たり、強くない?」
「ア? あー……」
ぼんじりの刺さっていた串を口で遊びながら、少し考えるように上を向く場地さん。ちらりと私の方を見たかと思うと、もう一度を上を向いてから私の方に向き直った。