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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第5章 私と場地さんとクリスマスイブと


 吐き捨てるように言葉を発した場地さんは私の方まで歩いてきたかと思うと「行くぞ」と言うのと同時に私の腕を掴んで歩き始めた。さすがにちょっと菅野さんが可哀想に思えてきて「お疲れさまです」と小さく声をかけながら彼女を見ると顔を真っ赤にさせていて、どうやら怒ってる? のか恥ずかしいのか。そんななんとも言えない表情で睨み付けられてしまった。
 え、えぇ……私が睨まれるの? 私悪くないし! これもそれも全部場地さんのせいだし! 私が安心して働ける職場返してホント!

「ちょっと場地さん!」
「ア?」
「歩くの早い! 手を引っ張りすぎ!」
「あ……ごめんな」
「二度はないですからね! 私、仏じゃないから!」
「仏ぇ? ちゃん人間じゃん」
「仏の顔も三度までってことわざ知ってる?」
「ホトケノカオモサンドマデ」
「よし。無かったことにして焼き鳥屋行こ」

 人間、大切なのは諦めと開き直りよ。場地さんの頭の悪さは並みじゃない、ここに時間を割くのは無駄だからさっさと焼き鳥屋に行こう。
 さきほど私が痛いからと言って離された手を、今度は私から掴みに行く。これくらいの下心は許されてもいいよね? 私の仕事場から歩いて十分くらいのところにある焼き鳥屋目指して二人で歩く。午後二十時になった街のイルミネーションは最高潮で、周りはカップルばかり。知らない人から見たら私たちもカップルに見えるんだろうな。

「熱燗飲みたい」
「色気ねェな」
「私は色気より食い気なのー!」
「知ってる」
「でしょ? あ、ほら! 見えてきたよ!」

 あそこあそこ! と、はしゃぐ私に引きずられるようにして腕を引っ張られる場地さん。ちょっと苦笑いをこぼしながら「ンな急がなくても焼き鳥逃げねーし」とド正論をかまされた。確かにそれもそうなんだけどさ、私はもうお腹がペコペコなんですよ。
 店の外にまで漂っている焼き鳥のいい匂いに誘われるよう、店内へと足を運ぶ。中からおじちゃん店主の活気ある声が聞こえてきて、私のテンションも最高潮! よっしゃ食べるぞー! と目を輝かせる。
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