【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第5章 私と場地さんとクリスマスイブと
「ちゃん、仕事何時に終わンの?」
「場地さんが最後のお客さんだから、場地さん終わったら終わりだよ」
「マジ? 飯行かね?」
「行く! 焼き鳥食べたい!」
「クリスマス感ゼロだな」
「鶏肉じゃん、鶏肉」
チキンには変わらないと言い切る私に「ちゃんのそーいうとこ好きだワ」なんて簡単に言ってのける場地さんにグッと胸がつまる。コミュニケーション能力が高くて人に好かれる性格の彼だ、きっと私以外の人にもたくさん同じようなことを言っているんだろうな。
この言葉をいいように解釈しちゃダメだ。あとで傷つくのは私なんだから。自分の気持ちをしまいこむよう、顔面に笑みを貼り付けて「ちゃんいい女だから」と一言返してやった。
「はい、腕のむくみ取れたよ。右左見比べてみて?」
「うお! 腕の太さちげェ!」
「でしょー!」
「ふはっ、めっちゃドヤ顔」
「私の腕の見せ所ですから」
「腕だけに?」
「ダジャレのつもりで言ってないから」
反対の腕も同じように手のひらでしながら、話題はこの前私が手土産に持っていったチョコレートの話題になった。「うまかった」とか「一虎がめっちゃ食ってて喧嘩になった」とか話の内容はしょうもないし、チョコレートごときで喧嘩するとか小学生か、とも思ったけど……そんなに喜んでくれたんだったらまた持ってこうかな。
「千冬も喜んでたぜ」
「ほんと? よかったぁ」
「さんいい人ですね、だってよ」
「知ってる」
「ケンソンって知ってっか?」
「そっくりそのまま返すね」
謙遜って言葉知らないの場地さんの方でしょ。なんて言えば「うっせ」と返ってきたので、きっとあんまり意味はわかっていないんだろうな。期待を裏切らない男だ。
そのあとも、あそこのチョコレート屋は私のお気に入りで生チョコも美味しいんだの、立ち飲みの美味しい焼き鳥屋が近くにあるだの、やたら食べ物の話で盛り上がってしまい、ちょっぴりお腹が空いてきた。場地さんと焼き鳥食べるの楽しみにがんばろ。
「次、うつ伏せになってくれる?」
「おー」