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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第5章 私と場地さんとクリスマスイブと


「先輩も今日は圭介さんと過ごすんですかぁ?」

 みんなが浮き足立つクリスマスイブの夕方。いつもより来客数の少ないお店の受け付けで残りの予約を確認していたら、後輩の菅野さんに声をかけられ少しだけ振り向く。ペットショップで菅野さんたちと出会ってからというもの、私と場地さんのことを逐一訊かれるようになってしまった。正直めんどくさい。これもそれもあれもどれも、場地さんが私の彼氏風を吹かせたせいだ。許せん。
 あともうひとつ文句を言うとするならば、菅野さんは私のプライベートを詮索しすぎだということ。うっとうしいことこの上ないわ。なんてさすがに本人に言う勇気はないけれど。

「場地さんなら──」

 私の言葉を遮るように来店を知らせるベルが鳴った。そこにいたのは今日も素敵なキューティクルの──。

「さみぃ……」

 場地さんだ。誰よりも早く彼に反応した菅野さんは「圭介さぁん!」と甘い雰囲気を振り撒きながら場地さんへと駆け寄っていった。仮にも彼女設定の私より早く行くとかどういう了見なんだろうか。

「は? 誰?」
「──え?」
「お。ちゃんいンなら声かけろよ」
「え? あー、うん。ソダネ」

 おうふ。あんなにあからさまな菅野さんのアピールガン無視できるとか……場地さん強い。っていうか本当に誰か忘れているのかな? それはそれで菅野さん可哀想すぎるし、場地さんに至っては脳みそ残念すぎるでしょ。あんなにインパクトある出会いだったのに。
 なんとも微妙な雰囲気を醸し出すこの空間にいたたまれなくて、とにかく場地さんを奥の個室へ押しやるように移動させる。当の本人は不思議そうな顔をしているが、今回は見なかったことにしておこう。存分に不思議がっておいてくれ。

「アイツなんで俺の名前知ってンだ?」
「この間ペットショップで会ったでしょ? ほら、私の元カレと付き合ってる私の後輩」
「あー……そういやいたな」
「本気で忘れてたのね……ある意味関心するわ」
「あんな女キョーミねぇし」
「さすが雄の最高峰」
「オスのサイコーホー?」
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