【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第4章 私と場地さんと元カレと
「ふはっ、中のやつら顔やべェ」
場地さんの声に中を見てみると、穴が開くんじゃないかくらいの勢いで私たちの方を見ている菅野さんと彰人、一虎さんの口元は意味深に弧を描いているし、千冬さんの顔はほんのり赤く染まっている。
「……公開処刑じゃん」
「未遂だからよくね?」
「よくはないね、よくは」
「ちゃん細けェ」
「場地さんみたいにモテてこなかった私には一大事なんです」
「顔、真っ赤だしな」
ウブなちゃんもかわいーじゃん。とかなんとか言ってからかってくるのホントやめて……私の恋愛偏差値の低さを露呈させないで……。
「場地さん、今からお店戻るんだよね? どんな鋼の心持ってたらこの状況で戻れるの……」
「キスなんて挨拶みたいなもんだろ、つっとくワ」
「場地さんかっけェ」
「千冬の真似か?」
「似てた?」
「いや、まったく」
「ちぇっ。……千冬さんの誤解は解いといてね」
「誤解させといてもよくね?」
「エ。逆に場地さんはいいの?」
私と付き合ってるって思われるんだよ? そう尋ねれば「面白そうだからいいンじゃね?」と、なんともまあ彼らしいというか、なんというか……返事に困る答えが反ってきたので苦笑いをする他ない。
「じゃ、デート。行きたいとこ考えとけよな」
「デート強調すんな」
意地の悪い笑みを浮かべながらお店へ戻っていた場地さんを見届けて、私も帰路へとついた。
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