【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第4章 私と場地さんと元カレと
「そんなことよりさー、さっきのデートの話なンだけど」
「はっ!?」
「バイクでどこ行く? この時期ならイルミもキレイだろうけど、さみぃよなァ」
デート、がパワーワードすぎて呆けていると場地さんに「話合わせとけって」なんて耳打ちされる。え? あ、えっ?
回っていない頭でなんとか絞り出したのは「イルミいいですね」なんて、捻りも何もない言葉だった。これ、デートだったの? いや……確かに男女二人でお出掛けするんだからデートなのかもしれない、けど……え?
言葉にされると急に意識してしまって恥ずかしくなってくる。ほっぺが赤くなってないといいんだけど……絶対あとでバカにされるのが目に見えてるもん。
「先輩の彼氏さんですか?」
「場地圭介だ。ちゃんがいつも世話になってンな」
「せんぱぁい! 彼氏さんめっちゃイケメンですね!」
「え? あ、はは……」
「圭介さん、バイク乗るんですかぁ? かっこいい! 私も乗ってみたーい!」
「ア? 免許取ればいいじゃん」
いや、場地さん。そういう意味じゃないと思う。という言葉は私の口から出なかったが、私たちの少し後ろで一虎さんが肩を震わせて笑っているから、きっと私と同じことを思っているのだろう。この人と気が合うとかちょっと癪だけど、言いたいことはめちゃくちゃわかる。
「二人乗りに憧れるんですよ!」
「ふーん? なら俺じゃなくてソイツに言えよ。彼氏なんだろ?」
「それはそうだけどぉ……」
「ワリィけど、俺の後ろはちゃんしか乗せねェから。あとちゃんの後ろも俺だけ、な?」
な? と言いながら私の腰を抱いてくる場地さんはえっちだ。実にけしからん。なんで私より年下の男の方が大人の色気出てるんだ、私にも分けてくれ……! なんて現実逃避しながらバカなことを思っていると不意に頭の上に重みがかかる。驚いて顔をあげようとするがどうやら腕が乗っているらしく、その重みで顔が上げられない。
誰!? なんて思っているとリンと可愛らしい鈴の音が返事をしてくれた。