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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第4章 私と場地さんと元カレと


「やっと帰ってきた。おっせーよ千冬」
「俺にだって休憩させてくださいよ」
「そうだぜ一虎。千冬はいつもよくやってくれてンだからよ、大目に見てやれって」
「場地は千冬に甘いんだよなぁ」
「それくらい私にも甘くしてほしいんだけど、場地さん」
「できたら苦労しねェよ」
「してよ! 私、女子だぞ!」
「アラサーは女子って言わなくね?」
「永遠に女子だわ! 君、場地さんより辛辣だね!?」

 場地さんと千冬さんに「一虎」と呼ばれていた彼は、随分と口が悪い。こう……何て言うか、場地さんは悪意なくド直球に悪口言ってくるけど、一虎さんは悪口ってわかってて悪口って言ってきてる気がする! ──いや、どっちも質悪いな。

「あ、そういやちゃん」
「はいはい、何でしょう場地さん」
「ツーリングいつなら行けそうだ?」
「あっ、連絡するの忘れてた。ちょっと待ってね今予定見るから」

 鞄からいそいそとスマホを取り出して予定を確認する。ん、こことここなら行けそう。私より背の高い場地さんに少しかがんでもらいながら、二人で私のスマホの画面を見る。
 あーだこーだ、何時からにする、集合場所は、なんて話していたらお客さんの来店を知らせるベルがなった。「らっしゃーせー!」と元気よく挨拶をした場地さんに釣られて扉の方へ視線をやって後悔した。五分前の私に早く帰りなさいって伝えてあげたかった。そう思っても後の祭り。そこにいたのは──。

「あれ? 先輩だぁ」

 仕事場の後輩と、私の元カレ。

「す、がのさん……」
「せんぱぁい奇遇ですね、こんなところで会うなんて!」
「そ、そうね」
「あ、先輩にも紹介しますねぇ。恋人の山中彰人さんです」

 知ってるわ! と言えるわけもなくひきつった笑みを浮かべながら「初めまして」と声をかける他できない私に、彼も乾いた笑みを浮かべながら軽く会釈してくる。私、厄年じゃないはずよねぇ……。っていうか運使い果たしたフラグの回収早すぎません? 回収しなくてもよかったのに。
 そんな私たちを見ていた場地さんに「知り合いか?」と訊かれたので「仕事場の後輩」と一言答えれば何かを察したように頷いた。
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