【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第1章 Prolog
「あなたも私の相手をしてくれるの? 大歓迎よ」
「エッ! いや……それは」
「おあいにく、私は誰にでも股を開くような安い女じゃないの」
「は、はい……」
「わかったら家帰って一人でシてろ」
目をかっ開きながらビッと親指を下に向けて言葉を吐き捨てる。完全に八つ当たりしちゃったけど、遊んでやったことに変わりはないわ。なんて一人で自己完結しながら、家までの道を大股で歩く。あー! ほんとやってらんない!
「……私がなにしたって言うのよ」
ぐすっとまた涙が込み上げてくる。今日の私、情緒不安定すぎてヤバい。こんなの振られて当然じゃん……。
彼の前ではできるだけ大人しくしていた。できるだけ女の子らしくいたいと思って、服装や髪型、メイクにだって気を使っていた。……気を使っていたのに、私の頑張りってなんだったんだろう。
「はは、惨めになってきた」
ガチャリと自分の家の鍵を開けて、電気をつける。いや、よく考えてみたら結婚する前に気づけてよかったじゃん。うん、そうだよそう。結婚してから不倫やらなんやらあるよりずっとかいいじゃん、うんうん。
なんとかネガティブな思考を追い出そうと頭を横に振る。……よし、こうなりゃヤケ酒よ。
「潰れるまで飲む!」
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