【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第4章 私と場地さんと元カレと
「場地さん、みんなでだからね」
「わーってるって」
「お二人はいつの間にそんな仲良くなったんです?」
「昨日、ちゃんと飲みに行ってそンときにな」
「場地さんに愚痴聞いてもらってました」
「そうだったんですね。気分は晴れましたか?」
「晴れましたー! ゴキにも乗れたし、もう大満足です!」
きゃいきゃいとゴキに乗った感想を話していると、どうやら千冬さんもバイクに乗るらしく──しかもどうやらスズキ・GSX400Eのザリに乗っているらしくて、こんなところでも場地さんと仲良し感をアピールしてくるなんて。ほんと場地さんのことが大好きなのね。
昔からゴキとザリに乗ってるのかな? なんか青春って感じだわ。もうみんな成人しちゃってるけど。
「ちゃんシャドウ乗ってンだってよ」
「シャドウですか! また大きいの乗ってますね」
「今度場地さんとツーリング行くことにしたんですよ」
「いいですね。お土産待ってます」
「はい! 場地さんに買わせますね!」
「買うけど言い方他にねェの?」
呆れたような顔で私の方を見つめる場地さんに向かって、んべと舌を突き出す。「ったく」という呟きが聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。そんな私たちのやり取りを見てか、ふふと小さく笑う千冬さんの声にそちらを向くと口元に手を当てて優しく微笑んでいた。
「元気になったみたいでよかったです」
「あ……その節はどうもすみません……」
「気にしないでください。いろいろありますよね」
神……ここに神がいる!
ぶわわ、と感動が足元からせり上がってくるのを抑えきれず、口元がもぞもぞと勝手に動く。ここの人はみんな優しいなぁ……世の中こんな人たちばかりだったら、もっと幸せだろうに。そんなこと思いながらニマニマしていると「気色ワリィ」って言葉が頭上から降ってきた気がする。ちょっとほんと黙って、幸せな気分を邪魔しないで。