• テキストサイズ

【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第4章 私と場地さんと元カレと


 お気に入りのチョコレート屋さんの紙袋片手にクリスマス一色な街をゆっくり歩く。時刻は十一時、昨日言ったことを実行するため、私は今XJショップに向かっている。

「喜んでくれるといいな」

 お店の近くまで行くと今ではもう顔見知りとなった顔が、そこには立っていた。今日も艶やかな髪の毛は初めて会ったときと同じように、後ろで緩く三つ編みにされている。「場地さーん」と声をかければ私を見つけてくれて、よっなんて言いながら片手を上げてくれる。
 今日も顔面偏差値高いわぁ。そんなことを思いながら私も片手を上げて、挨拶をし返す。

「昨日はありがと」
「おー。二日酔いとかダイジョーブだったか?」
「うん、平気だよ」
「ん、それならいいワ」

 わしゃわしゃと私の頭を撫でた場地さんは「寒いから中入ろーぜ」と店内へ続く扉を開けてくれたので、お礼を伝えてから中に入った。一歩足を踏み入れると猫ちゃんたちの元気な鳴き声が私を迎えてくれて、なんだか幸せな気持ちで満たされてくる。ふふ、みんな可愛い。
 すっかり猫に思考を奪われている私をよそに、場地さんは「千冬ぅ!」とあのときみたいに元気な声で千冬さんを呼んでいる。あ、そうだ。今日は千冬さんにお礼と謝罪に来たんだった。本来の目的を思い出した私は少しだけ背筋を伸ばして、場地さんの斜め後ろに立つ。
 奥の方から小走りでやって来た千冬さんは場地さん、そして私を見てパッと顔を輝かせた。こっちも顔面偏差値高いわぁ。

「こ、こんにちは」
「いらっしゃいませ、さん」
「名前……」
「場地さんに教えてもらいました」
「なるほど。あ、これちょっとしたものですけどよかったら皆さんで食べてください」
「わざわざありがとうございます」

 ぺこぺことお互いに頭を下げる私たちの横で「お、チョコレート!」なんて嬉々としている場地さん。ちょっと待て、私は千冬さんのために買ってきたんだぞ。
/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp