【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第3章 私と場地さんと飲み会と
「俺にしがみついとけ」
「え? しがみついたら運転しにくいでしょ?」
「酔っぱらいが落ちたらどーしよ、と思ってる方が運転しにくいワ」
「そんな酔ってないし」
「言うこと聞かねぇと置いてくぞ」
「タクシーで帰るからいいよ」
「可愛げねー」
そんなこと言いながら本当に置いていくなんてことはしないんだろうなぁ。……いや、場地さんなら置いていくかも。「あっそ」とか言って置いていかれる私の図が思い浮かぶ。笑えねぇぇぇ。
……場地さんがいいって言うんだから、いっか。そう思って場地さんの腰に腕を回してギュッとしがみついた。私が思っていたよりも場地さんの腰が細かくて少しビックリしたのは内緒のお話。
「ン。じゃ、行くぞー」
「はーい」
何時間か前に聞いた渋いエンジン音が辺りに響き渡る。ゆっくりと加速を始めたゴキに乗りながら、私が後ろにいるから安全運転にしてくれてるのかな? と小さな笑みが漏れる。私の偏見では場地さんって運転荒そうに見えるから。あーでも……誰か乗せてるときはちゃんと加減してそう。
冬用のウェアだから場地さんの温もりを感じることはできないけれど、それでも温かい気持ちになってくるのは場地さんが温かい人だから……かな。なんちゃって。
「場地さん!」
「あー?」
「今日はありがと!」
「ちゃんもな!」
「場地さん!」
「あー?」
「さっきんとこ右!」
「もっと早く言えよなッ!」
いつまでも私の笑い声が辺りに響いていた。
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