【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第3章 私と場地さんと飲み会と
でも来てくれるっぽいし、嬉しいな! 来なかったらシメてやるんだから! ふんふんと上機嫌になった私を見て目の前の彼は、ふはっと可笑しそうに笑う。いや、なぜ? 笑う要素ありましたか? 不思議に思って首をかしげていると、頬杖をつきながら氷だけにグラスを弄びながら──。
「やっぱちゃん、笑ってる方がいいワ」
とチャーミングな八重歯を覗かせて、笑いかけてくれた。その顔を見て、ドッと心臓が強く脈打つ。……ほんとズルイなこの人。
「場地さんって天然タラシって言われない?」
「テンネンタラシ? 言われたことねぇな」
「じゃあ今日から私がそう呼ぶことにする。天然タラシ場地」
「なんかバカにされてんのはわかる」
「あはは」
笑っていると追加注文した料理が運ばれてきて、場地さんが目を輝かせる。その表情はとても二十七歳には見えないくらい、幼くて可愛らしい。見た目ちょっと強面なのに、笑ったら可愛いんだよねー場地さん。あー、私にも顔面偏差値わけてほしい。十くらいわけてもらえたら、もっと自分に自信持てる気がする。気がするだけだけど。
あ、だし巻きうんまあ。じゅわっと口の中で染み渡るだしを堪能していると、同じくだし巻きを食べていた場地さんも同じことを思っていたようで、二人して「うまいうまい」と言いながらだし巻きを追加注文する。これはだめだ、人をだめにするだし巻きだ。
「ホントこの店、何食ってもうまいな!」
「でしょー! 美味しいって幸せー」
「今度、千冬と一虎連れてきてやるかぁ」
「三人は仲良しさんだね」
「おう! 俺の自慢のダチだ!」
「あっ、千冬さんにこないだのことお礼言っといて。タオルありがと、お騒がせしましたって」
「ンなもん自分で来て言えよな」
「いやー……さすがにまた行くのはちょっとばつが悪いと言うか……」
あんなに迷惑かけちゃったし。と、どんどん声を小さくしていく私。そんな私を見て、少し身を乗り出した場地さんはあろうことか私のキュートなおでこにデコピンをかましやがった。しかもバチッ! って結構な本気な音がして、おでこがまあまあ痛い。赤くなってんじゃないでしょーね……とおでこを擦りながら、私にデコピンをした張本人を睨み付ける。大きな大きなため息をついた彼は、心底呆れた声を出しながら私に向かって言葉を紡いだ。