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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第3章 私と場地さんと飲み会と


 場地さんは相づちをうつくこともなく、ただじっと私の話を聞いてくれていた。人の話をじっと聴くとかできるんだな、この人。なんて失礼なことを思いながら大きな大きなため息をつく。私の幸せが余すことなく逃げてったわぁ。

「世の中狭いな」
「狭すぎてびっくりよ、ほんと」
「もっとイイ男取っ捕まえて自慢してやれ」
「いい男ねぇ……まずは私をゴリラ呼ばわりしない男ね」
「そんなやついンのかあ? 随分だなァ」
「でしょう? その人、今私の目の前で唐揚げつまんでる」
「マジか」

 って言いながらも手と口を動かすことを止めない場地さんを見て、思わず笑いがこぼれる。彼の不器用で無愛想な優しさを感じて、少し心が軽くなるのを感じていると、急にお腹が空いてきた気がする。気がするだけだけど。とりあえず私も同じように唐揚げを口に放り込んで咀嚼すれば、醤油の塩気が口に広がってくる。私の乾いた心に塩気が染み渡るぜ……。
 残っていたビールをこれまた一気に飲み干して、店員さんにレモンサワーを注文。ついでに場地さんもつくねとフライドポテト、だし巻き玉子と次々に注文していくのを見て、さすが男の人だなぁといらぬ感心をしてしまう。

「そいやちゃんは何の仕事してンの?」
「ボディスタイリストって言って、マッサージ師とかエステティシャンみたいなものかな」
「なんか以外だワ」
「そ? これでもお店で人気ナンバーワンなんだよ、私!」
「お! すげーじゃん!」
「へへーでしょでしょ? よかったら今度場地さんも来てね」
「男が行ってもいーのか?」
「うん、私のお客さんにも男性いるし。その代わり私のこと指名してね! 値段おまけしてあげるから!」

 にやりと口の端をあげながら親指と人差し指で丸を作ってお金のジェスチャーをすると、場地さんに「それヤメロ」と言われてしまった。なんでよ、いいじゃん。お金大事だよ! 唇を尖らせてプンスカ抗議する私に彼はへいへいと適当な返事をして、ジンジャーエールを飲み干した。ジンジャーエールでこんな絵になる人が世の中にいるなんてなぁ。
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