【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第17章 【番外編③】私と圭介とハジメテと
「イヌピーくんに言われるまで気づかないなんて、ほんとバカだよな。俺」
「うん、バカ」
「ふはっ、ソクトー」
「でも──そうやってバカ正直に自分の気持ちを話してくれるのは嬉しい」
「……そっか」
「あの女性、誰か訊いてもいい?」
「ダチってのは本当だ。幼馴染みの妹でよ、そんで──」
ドラケンのヨメ。
「……は?」
「だーかーら! ドラケンのヨメ!」
「あの金髪美人が?」
「おう?」
「ドラケンくんの奥さん?」
「おう。つってもまだ彼女だけどな」
「はあ!? 圭介、浮気したの!? だから言えなかったの!? このクソヤローが!」
「ちっっっげーよ! ンでそうなんだよ! エマがドラケンにやるプレゼントで悩んでたから相談乗っただけだワ! 口悪ィな!」
「へっ!? ほんと!?」
「ホント」
「……ほんと?」
「ホント。だからドラケンの前であんま言えなかったってわけ」
確かに居酒屋でドラケンくんに対して歯切れの悪い感じだったなぁ。そっか、ドラケンくんの彼女さんだったんだ。あの綺麗な女の人。
……よかったあ。そう思った瞬間、じわじわと涙がこみ上げては私の視界をぼやけさせていく。お酒の力も相まってか、感情のコントロールがいつものようにうまくできない。
「不安にさせてごめん」
「うんっ」
「俺、ちゃんが好き。好きなのに……ちゃんに心配かけさせるとかマジでダセェな」
「私も……素直になれなくてごめんっ」
「んなことねーよ。いつだってちゃんは自分に素直だろ? だから謝んなって。な?」
そう優しく声をかけてくれた圭介に思わず涙が目の奥からじわりと溢れ出てくる。私に怒ったっておかしくないのに、何でいつも優しくしてくれるんだろう。これじゃあ、どっちが年上なのかわかったもんじゃない。
「ねえ」
「ン?」
「一個聞いてもいい?」
「ああ」
「……めんどくさい女嫌い? 口うるさい女は嫌?」
一個じゃなくてつい二個聞いちゃったけど、圭介はそんなことにも気づいていない様子で目を瞬かせている。