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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第17章 【番外編③】私と圭介とハジメテと


「みんな青春してるわねえ」
「おばさんみたい」
「はいはい、どうせおばさんですよー。あ、イヌピー私もシュウマイ食べたい」
「ん」

 雛鳥のように口を開ければ大きめのシュウマイがぽいっと放り込まれたので、もぐもぐと味わっていると「うまい?」と問われ、うんうんと頭を縦に振りながら、はて? と動きを止める。ここにいるはずのない人の声が聞こえてきて、嫌な汗が背中を伝っては流れていく。何でここにいるの? え、何で?
 楽しかった飲みの席がこんな風に強制終了することあるのねえ……ははは……。

「よお、ちゃん」
「けーすけ……なにゆえここに?」
「ドラケンから連絡来たんだワ。ちゃんが酔ってるって」
「まだ酔ってない! シラフ!」
「シラフではねーな。ほら、帰るぞ」
「何で? まだ飲みたいんだけど」
「何でも」
「……やだ、帰りたくない」
「ア?」

 小さい子どもが駄々をこねるように嫌々とワガママを言えば圭介の眉間にシワが三本ほど刻まれ、不満げな様子に拍車がかかる。だって……ここで帰ったら圭介と二人っきりになるってことでしょう? それ、地獄の空気になるの必須じゃない?
 これから起こりうる未来を頭に思い浮かべてぶるりと身震いする。もはや軽くホラーだと私は思います、はい。

「私は今日飲むって決めたの」
「じゃあ俺ん家で飲めばいいじゃん」
「そんな約束してないじゃん」
「今した」
「マジか、横暴」

 どうしたものか。二人きりになったら絶対に重たい空気になる……というか私がしてしまう気がする。もちろんそうなりたいわけではない。ないけど……お酒も入って軽くなったこの口は、スラスラと言わなくていいことまで言ってしまうだろう。
 イヌピーの影へ隠れるように身を潜めるも、ぐいっとその仲を裂くように圭介の腕が割って入ってきた。むっすーと口をへの字に曲げながら「近すぎ」という圭介。イヌピーに嫉妬してるのかな? そう思うと少しきゅんと胸が高鳴る。
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