【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第17章 【番外編③】私と圭介とハジメテと
「どうせ私には魅力なんかないわよ! あの子みたいに大きな胸もないし! 可愛くもない!」
うわあああん! と机に突っ伏して泣き崩れる私を横目に男二人は「イヌピーこれうまいぞ」「食べる」と、私の存在がまるで空気かのように振る舞っている。ひどい。
「話聞いてよお」
「聞いてるって。場地が美女、とランチデートしてたんだろ?」
「ドラケンくん、美女を強調しないで悲しくなるから」
枝豆をぷちぷち食べながら肩を落とす私を横目に、どんどんおつまみを注文していく二人にとって、もはや私の悩みなど些細なものらしい。話を聞いてくれるんじゃなかったのか! 薄情者!
「……やっぱり私が年上だからだめなのかな」
「場地は年齢なんか気にしないの、ちゃんが一番よくわかってんだろ?」
「でもさ、誰だって若くて可愛い子がよくない? 私もイケメンが好き」
「その好きと、場地からの好きは違う好きじゃん」
「そうだといいんだけど」
ふぅ、と一息ついてからグラスに半分ほど残っていたビールをぐいーっと一気に飲み干しておかわりを注文する。隣のイヌピーに「お酒進んでるー?」とだる絡みすれば「進んでる進んでる」と適当にあしらわれたので、ていっと頭にチョップをかましておいた。私をないがしろにした罰だ、ちくしょう。
「場地にもこれくらい強気でいけよ」
「けっこう強気でいってるよ?」
「肝心なときに弱気じゃ意味ねぇだろ」
「イヌピーは美女を見てないからそんなこと言えるんだよ。もうね、めっちゃ美女だったんだから。イヌピーが女の子になったくらい美女だったの、わかる?」
「わかんね」
私って別にスゴく可愛くもなければスゴく不細工でもない。……と自分では思っているんだけれど、私の周りに美人が多すぎるから自分がとっっっても不細工なんじゃないかとさえ思えてくる。いや、実際にどちらかと言えば不細工な部類に入ると思う。
そんなことを考え出したらどんどん気分は沈んでいき、イヌピーの首に腕を巻き付けながらまたもやびえええんと鳴き声……間違えた、泣き声をあげて腕に力をこめた。「首絞まってる……」というイヌピーの声が聞こえたので、少し腕の力を緩める。愚痴を聞いてほしいので、死なれては困るのだ。