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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第16章 【番外編②】私と圭介と金髪美女と


 あんなに無理矢理だったにも関わらず、ドラケンくんは快くオッケーしてくれたみたいで──これからD&Dの方に足を向けて眠ることは止めます。神様仏様、イヌピー様ドラケン様ぁってね。いやー持つべきものは元暴走族のイケメン幼馴染みと元暴走族のイケメン店長だ。ありがとう二人とも。

「じゃあ今からお店いくね」
「帰りは俺かドラケンが送るから飲んでいいぞ」
「わっ、マジ? 二人ともバイク?」
「ああ。店からメット持ってく」
「ありがとー」
「おう。またあとで」

 ピッとスマホの通話ボタンを押してから、はてと首をかしげる。電話をかけてきてくれたのはイヌピーからだったんだから、何か私に用事があった……はずなんだけど。その内容は告げられることなく、電話が切れちゃったなあ。何の用事だったんだろ? まぁ今から会うわけだし、そのときに聞いたらいっか。
 んーと伸びをしてから勢いをつけて、ぴょこんと起き上がる。沈んでいた気持ちは少し浮き上がって、海月のようにふわふわと──地に足つかず、漂っている感覚。……うん、今から気持ち切り替えて楽しんでこよっと。
 そこらへんに置いてあった財布だけ手にとって身軽な格好で夜の街へと繰り出す。もう夜も遅い時間だと言うのに爛々と輝く街灯に出迎えてもらいながら、駅の方へと歩みを進めていけば飲み終わって帰るのか……スーツを着たおじさんやOLらしきお姉さんも流れるように駅の方へと進んでいた。
 圭介との電話のせいか不意に感傷的になってしまい、ぼーっとよそ見をしながら歩いていると誰かと肩がぶつかってしまう。あっと思ったときにはもう遅く、謝ろうと相手の方を振り向けば顔を猿のお尻くらい赤くした若いお兄さんが三人……こちらを見て、回らない口でつらつらと文句を垂れ始めた。うわーついてないなあ。

「ねえちゃん、前見て歩けよなあ」
「すみません、こちらの不注意で」
「謝ってすんだらけーさついらねぇだろ! なあっ?」
「ほんとほんとー!」
「じゃあ裁判所にでも行きます?」

 ぎゃはぎゃはと餌を欲しがる動物園の動物のようにわめきたてては、周りの人の視線を欲しいがままにしていた三人は電池が切れた玩具のようにピタリと動きを止め、一斉に私の方を向いた。まるで死んだ魚のように光のない眼差しが私を射抜くが、こんな人たちにモテても何も嬉しくないんだなーこれが。
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