第15章 【番外編】私と圭介と愉快な仲間たちと

「あんなことがあったから、嫌なこと思い出させそうで怖いんだよ」
「……」
「……何か言えよ」
「あ、うん。その、ちょっと、意外で」
「意外ィ？」
「私が思ってたより……大事にされてたことに」
「だろ？　俺、ちゃん大好きなんだワ」
「おほーう」
「伝わった？」
「ウス」
「ホントに？」
「押忍」

　大真面目な顔で頷いたら、嬉しそうな顔でわしゃわしゃと豪快に頭を撫でられて私の髪の毛が暴れる暴れる……。ボサボサになった私の髪の毛を手櫛で整えながら慣れない出来事にどうしていいかわからず、むずむずと口を動かすことしかできない私を見て、圭介は優しく口元を緩めた。

「急ぐ必要ねェから」
「……うん」
「なんなら俺の夜のお供はちゃんだし」
「んはっ！？」
「実物も可愛い声で鳴いてくれンだろうなァ」
「何て想像してんのよ！」
「俺の想像の中のちゃんも俺の挟めなかったから安心しろ」
「デリカシー！」
「今朝の燃えるごみと一緒に捨てちまったワ」
「捨てるな！」
「こんな俺も嫌いじゃねーだろ？」
「ぅぐ……それは、まあ……」

　少しずつ小さくなる私の声にすら楽しそうに笑う圭介は本当に意地が悪い。そうだよ、嫌いじゃないよ。……これが惚れた弱味ってやつなのかな。
　きっと今、私の顔はほんのり赤くなっているはずだから、この部屋が暗くてよかったと心の底から考えては安堵に胸を撫で下ろす。こんな顔、恥ずかしいから絶対に見られたくない。

「このまま寝るか」
「えっ」
「ほら、来いよ」

　自分の腕を差し出してポンポンと近くに寄るよう布団を叩いて私を促す。きっと腕枕をしてくれるということなんだろうけど、けど……。