【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第15章 【番外編】私と圭介と愉快な仲間たちと
「めんどくさい女、やなんでしょ?」
「俺がいつちゃんにメンドーだなんて言ったよ」
「言われてないけど、面倒じゃないとも言われてないから」
わざとめんどくさい返事をすれば圭介の私を掴む手の力が更に強くなった。人をゴリラゴリラなんて言っていたけど、圭介のがよっぽどゴリラだからな……! 力を入れてもびくともしないこの男に心の内で悪態をつきながら、抵抗するのを諦めて体の力を抜く。
急におとなしくなった私を不審に思ったのか、いぶかしげに私を見つめるその眼差しは意外と嫌いじゃない。
「あんなに好きつったのに、まだ信じらンねーの?」
「そんなことないよ」
「いや、信じてねェ」
「ねぇ、圭介」
「どーしたら信じてくれンだよ」
「圭介ってば」
目の前にいる私の声が届かなくなったのか、うわ言のように喋り続ける圭介に思わず苛立ちが募る。人の話を──。
「聞けッ!」
「あがッ!」
手足が不自由なので思い切り頭突きをかます。脳が揺れる感覚に、やりすぎたかも……と思うがすでに後の祭り。なかなか日常生活では聞かない呻き声を出した圭介は、痛そうに私のお腹の上で顔を埋めて肩を震わせている。
「信じてるってば」
「いや、もうそれどころじゃねェ。頭割れた」
「私の問題なの。信じてくれてるのはわかってるけど、不安になるの」
「ちゃんも全然話聞いてくれねェじゃん……」
「私はいいのよ、私は」
「ほんっとちゃんズリィ」
そう言いながら私の横にごろんと寝転んだ圭介。少し狭そうに身じろぎしながら私の方を向いて「あんな?」と話を始めた圭介の方へ体をよじって、お互いが向き合うような形で寝転がる。
じーっと彼の言葉を待っていると、垂れてきた前髪を耳にかけながら言葉を探しているようだった。最高のビジュアルだな!
「ちゃんと女として見てるに決まってんだろ」
「……ほんと?」
「ったりまえだろ。これでもまぁまぁ我慢してンだぜ? 俺」
「そんな感じに全然見えないんですけど」
「カッコ悪いから見せねーようにしてンだよ。あと……」
すり……と私の頬を撫でる圭介の手は武骨なのにとても優しくて、私をもっと虜にしていく。