【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第15章 【番外編】私と圭介と愉快な仲間たちと
私と二人でいるときとは違うなんとも血気盛んな圭介を見ながら、男って単純な生き物だなーと頭の片隅でぼんやりと考える。あーだこーだと言い合う二人は、ついに私の目の前で腕相撲を始めてしまった。いや、小学校の休み時間か。
ちゃん、スタートの合図言って! と言う圭介を半目で見ながら、やれやれと首を振る。旅は道連れ世は情け。君らより大人なさんがその遊びに付き合ってあげようじゃありませんか。
「じゃあ、いくよー」
「おう」
「レディ、ゴー!」
ガッ! と机が揺れるぐらいの馬鹿力二人による腕相撲大会が始まった。あ、二人しかいないから大会ではないか。しょっぱなからシードの決勝戦みたいなものだし。
二人とも腕に血管が浮き出るほど力を入れていて、いかにこの勝負に本気なのかが見てとれる。うーん……いい勝負してるけど、ドラケンくんのが少し優勢かなぁ。
ポップコーンを食べるようにドライフルーツを食べながらワインを嗜む。気分はさしずめ、甲子園野球をビール片手に観戦しているおじさんだ。
「っぐ……!」
「──ッ」
「両者一歩も引かない戦いです。あーっと少し圭介選手が押され気味か。しかし体格差もある中、よく頑張っています」
「ちゃん気ィ散る!」
「オラァ!」
「しまっ──」
圭介の気が緩んだのを見逃さなかったドラケンくんは、その隙をついて一気に勝負を決めた。絶対ドラケンくんと喧嘩するのも止めよ。することないだろうけど。
「俺の勝ちだな」
「くそっ! もっ回だ!」
「あはは、ムキになってる圭介可愛い」
「何回でも相手してやる──って言いたいとこだけど、とりあえず飲もうぜ。ちゃん一人で飲むことになるからよ」
「……だな」
「お姉さんに気をつかってくれるの? やっさしー! っしゃ、今日は寝かせないぞ」
「急にガチトーンになンのヤメロ」
ルンルンと二人のグラスにワインを並々と注いでいく。久しぶりのお酒なんだから、たまには羽目を外したっていいと思うのよ。粗相さえしなければ。