【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第15章 【番外編】私と圭介と愉快な仲間たちと
「圭介! 唐揚げ美味しい!」
「ならよかったワ」
「もう一個食べよーっと」
「さん、ほんと幸せそうに食べますね」
「美味しいは幸せだもん。ほらほら、千冬さんも遠慮せずに。私は作ってないけど」
「それナ」
みんなどんどんお酒も進めば、千冬さんなんかは顔が随分と赤くなって出来上がってきた。どうやらお酒に一番弱いのは千冬さんのよう。
イヌピーも表情こそあまり変わらないものの、目がとろんとしてきているのを見ると、少し眠くなってきているみたい。なんだかんだもうすぐ日付が変わりそうなほど、時間が過ぎている。
楽しい時間はあっという間なんだよなぁ。
「イヌピー大丈夫か?」
「……大丈夫だ」
「いや、どう見ても大丈夫じゃねぇだろ」
「ドラケンくんの言う通りだよイヌピー。眠そうじゃん」
「まだいける」
「何と張り合ってんのよ。その年でお酒に飲まれるなんてカッコ悪いわよ」
「そーっすよイヌピーくん! ほどほどにしとかないと、らめれすよ!」
「ほら、これが一時間後の未来イヌピー像だよ」
「……ぜってぇやだ」
「でしょ? だからそろそろお酒控えてお水にしなよ。持ってくるから」
ちょっと待ってて。と声をかけてキッチンの方に置いてあったペットボトルの水を取りに、立ち上がる。イヌピーが最初に言っていた通り、お酒に強いのは私と圭介とドラケンくんのようで、一虎もイヌピーと千冬さんに比べたらマシなものの少し顔が赤らんできていた。
そろそろ介抱してあげないと、明日大変なことになりそうだなぁ。さすがにそれは避けたいところ。
そんなことを思いながらペットボトルの水を二本ほど手に取ろう──としたら、私の背後からニュッと手が伸びてきて、そのペットボトルを掴んでいった。
「圭介?」
後ろを振り返って犯人を確認すれば、お酒が入ったせいか、いつもより少し上機嫌な圭介が緩やかに目を細めながら立っていた。
「俺、持ってくワ」
「大したことないのに」
「……ってのは口実で、少し二人きりになりたかった。って言ったら?」
下から覗き込むようにして私の顔を伺う圭介。薄く開いた口から、トレードマークの犬歯を覗かせて……まるで獲物を追い詰めた狼みたいだ。