第15章 【番外編】私と圭介と愉快な仲間たちと

「なあ、って何カップ？」

　なんてことをほざきやがった。

「……はい？」
「胸。何カップ？」
「いや、聞こえてはいたけどね」

　自分の定位置に戻って、すでに出来上がってんの？　と思えるような発言をしている一虎に呆れながら早々に飲み干していたビールのグラスを横にどけて、ビール瓶から直で喉にビールを流し込む。

「聞いてどうするのよ」
「可哀想にって慰めてやろうかと」
「失礼の極み。そこまでちっちゃくないもん」
「でも挟めなさそうじゃん」
「何を？」
「場地の息子を？」

　そんなことを一虎が言うものだから、隣の圭介は、ごふっ！　と勢いよくビールをむせて吹き出している。可哀想に。

「一虎ァ！」
「んだよ場地。お前は挟んでもらいたくねぇのかよ！」
「ねぇ、この人もう酔ったの？」
「シラフですね」
「終わってるね」

　リンリンと嬉しそうに鈴を鳴らすな、鈴を。そう言えば、一虎は出会ったときから私に対してだいぶ失礼だった気がする──って圭介もか。この空間でマトモなのは千冬さんとドラケンくんだけだね、うん。
　ビンのままぐびぐびとビールを飲み続けている私に「ちゃん、これ水な」と渡してくれるドラケンくんを見て、私も将来こんなお母さんになりたいな。なんて失礼なことを考える。

「そう言えばこの料理はドラケンくんが作ったの？」
「ん？　あぁ、俺と場地で作った」
「え！　圭介作ったの！？　どれ！？」
「ンだよ、そんな物珍しそうにして。俺だって料理くらいできるワ」
「そうじゃなくて！　好きな人の手料理食べたいじゃん！」
「……そンなもん？」
「そんなもん！　ほら、どれか教えて！」
「唐揚げとたこわさ」
「だし巻きとか繊細なのできなさそうだもんね、納得」
「おい」

　いただきまーす、と唐揚げを箸でつまんで豪快に口へ放り込む。リスのように口いっぱいに唐揚げを味わいながら、によによと頬が自然と緩む。私のためって訳ではないけど、圭介が作った手料理を食べられたの嬉しい。
　そんな感情がありありと出ていたのか、イヌピーに「、顔ヤバい」とお小言をいただいた。自覚してるから許せ、イヌピー。