【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第14章 Epilogue
「中学で留年することあるんだね」
「うっせ。……いろいろあったんだよ」
「そう。何かわかんないけど大変だったのね」
「……そう、だな」
「たくさん頑張ってたんだね」
「……ん」
甘えるように私の指に自分の指を絡めてくる。一緒にいる時間が長くなった分、心を開いてくれたのか素直に甘えてくれるのが私としてはとても嬉しい。
同じシャンプーのはずなのに、相変わらず私よりもツヤサラな癖っ毛を空いている方の手で撫でると、身を委ねるように圭介は目を閉じた。うん、可愛い。
「いつも訊いてこねーのな」
「私が大事なのは今だから」
「……、今シアワセ?」
「うん」
「ふは、ソクトー」
ケラケラとおかしそうに笑う圭介は「ま、俺もソクトーするけど」なんて言いながら、おもむろに立ち上がると私と目線を合わせるように、私の前にしゃがみこんだ。
「」
「ん?」
「あのとき、俺に好きって言ってくれて嬉しかった」
「うん」
「ずっと傷つけてたのに気づかなくてごめん」
まるで壊れ物でも扱うかのように繊細な手つきで私の両手を握ってくれる圭介。私の首筋に顔を埋めたかと思えば目を瞬かせ、彼の睫毛が何度もヒラヒラと羽を羽ばたかせる蝶のように動く度、くすぐったさとちょっとの快感が私の体を駆け巡る。
彼の言葉に首を横に振って否定を表すと、安心したように吐き出された吐息が首筋を掠めた。