【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第14章 Epilogue
千冬さんが「場地さんってできない約束はしないんですよ」と私と圭介が付き合ってすぐの頃に教えてくれた言葉を思い出す。告白のときの言葉通り、彼は私をとても大事にしてくれている。それがありありと伝わってくるのが、くすぐったくも嬉しい。
それと同時に少し心配にもなる。私はそんな圭介に、何か返せてあげているのだろうか。
「どうした?」
「目ざといわね」
「なんか違ったから」
「野生の勘よ」
「で? 話反らすなって」
「圭介、なんか意地悪になった」
「、すぐ自分の気持ち隠すから」
「そんなこと……あるけど」
「だろ? ほら、言ってみ」
な? と優しく頭を撫でられ、ここまで言われたらしょうがない。とぽつりぽつり胸のうちを明かしていく。
「圭介にさー」
「ん?」
「私がしてあげられることって何かなと思って」
「が?」
「うん。いつも大事にしてくれてるから、私が返せることってなんだろうと思って」
隣に座った圭介へもたれるようにして彼の肩へ頭を乗せて、目を閉じる。私の頬を優しく滑る圭介の手は、何だか私を労ってくれているようにも感じる。こういう一つ一つの行動が、圭介は本当に優しい。そしてそれが私に向けられているのがとても嬉しい。
「別に見返りなんて求めてねェよ」
「それはわかってるつもりなんだけどさー」
「そうだなー。強いて言うなら──ずっと隣にいて」
「それだけ?」
「そンだけ」
「楽勝じゃん」
「だろ?」
「他は?」
「他ァ?」
んー。と顎に手を当てて考え始める圭介に、欲がなさすぎでしょって思わずツッコミたくなってしまった。少しすると何か閃いたように小さな声を上げたので、何だ何だと期待の眼差しで圭介を見上げる。