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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第14章 Epilogue


「ただいまー」
「あ、圭介おかえ──」
「あ! 何で家事してンだよ!」
「何でって、今日は調子よかったから」
「チョーシよくてもしなくいいから。俺がやるって言ってんだろ?」

 一人の体じゃないんだから。
 そう言って随分と大きくなった私のお腹を撫でる圭介の顔は、もうお父さんの顔だ。父性に満ち溢れていらっしゃる。

「心配性だなあ」
「セッパクソーザンとかなったら困るだろ」
「え。圭介、切迫早産知ってるの?」
「千冬に聞いて調べた」
「あーなるほど」
「今バカにしただろ」
「まっさかー」

 そんなことを言いながらソファがある方へぐいぐいと押しやられるので、仕方なく言う通りにソファへと身を沈める。「いつまで経ってもやんちゃなかーちゃんで困るな?」そう言いながらまた私のお腹を撫でる彼の左手薬指がキラリと光っているのを見て、思わず笑いが溢れた。
 自分の左手を圭介の手に重ねようとしたら、彼がいきなり大きな声で叫ぶものだからビクリと肩を揺らしながら元凶を見れば自然と目が合う。

「今蹴った!」
「え? あ、うん。そだね」
「俺の手! 蹴った!」
「嬉しいの?」
「おう!」
「この子もやんちゃになりそうだね」
「俺との子だしな」
「ねー。腹減ったって車燃やすようなお父さんだからねー」
「ハ!? それ誰に聞いたンだよ!」
「一虎」
「っんのヤロー……!」

 知られないようにしてたのに。なんて言いながら頭をガシガシ掻く圭介は出会った頃と何も変わらない。……見た目は少し落ち着いたように見える気もするけれど相変わらずちょっと馬鹿で、でも優しくて心の温かい人。
 気取った感じもなく「俺たち結婚するか」って言ってくれたときも、私に内緒で彼の知り合いだと言う有名デザイナーの三ツ谷さんにウェディングドレスをオーダーしていたときも、子どもを授かったと報告したら大粒の涙を溢しながら喜んでくれたときも、いつだって彼は私のことを思ってくれている。
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