【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第13章 私と圭介と二人の思いと
「けど、私は場地さんのことが“LOVE”の意味で好き」
頬は腫れてるし、髪もぐちゃぐちゃだし、服はボロボロだし、ムードもへったくれもないけれど、胸のうちをさらけ出した私の言葉は真っ直ぐに彼へと届いたようで……切れ長のを目が丸く見えるほど目を見開いた圭介は掠れた声で「は」と呟いた。
「ウソだ」
「こんなことで嘘つかないから」
「千冬のこと好きだって……」
「LIKEね」
「千冬みたいな人と付き合いたいって」
「それは場地さんに対する嫌味ね」
はあぁ、と海より広く沼より深いため息をはいた圭介は頭を抱えながら「マジ?」と私の言葉を信じられない、と言ったテンションで聞き返してきた。ちなみにこちとら大マジだ。
「ちゃんが俺のこと、好き?」
「おうともよ」
「ンだよ……俺の勘違いだったのか……」
「ちなみに私も盛大な勘違いをしてた」
「勘違い?」
「場地さんは菅野さんのこと好きなんだと思ってた」
「ハアァ!?」
そんな大きな声出したら夜中に近所迷惑でしょ、なんて伝えれば「いや、俺が!? ハァ!?」と、これまた信じられないとでも言ったようなテンションと声色で狼狽している。
こんなに感情的な圭介を見たのはいつぶりだろうか。感情を表に出すことはあれど、本心はわかりにくい人だったから……こんな素直な圭介は初めて見る、かもしれない。
「ンなわけねーだろ!」
「だって! 菅野さんとご飯食べに行ってたじゃない! わざわざ彼女のこと待って! それに夜を一緒に過ごしたって言ってたし! 菅野さんのこと好きなんだって思うしかないじゃん!」
「……ハ? あの女、ちゃんにそんなこと言ったのか?」
圭介のまとう空気が一気に黒くなるのを肌身で感じた。え? なに? 私、地雷踏み抜いた感じですか?
「最初に言っとくとあの女とは何もねェから。飯は食べたけど、そんだけ。寝てもない」
「……ご飯食べに行ってんじゃん」
「それは……アイツに言いたいことあったから」
「言いたいこと?」
圭介から菅野さんに言いたいことなんて果たしてあるのだろうか? 私の記憶の限りでは、全くと言ってなさそうなその接点にどのことだろうと過去を思い返す。……うん、圭介に言い負かされてる菅野さんしか出てこないや。