【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第13章 私と圭介と二人の思いと
彼が全てを言い終わる前に、否定の言葉をぶつけるように言い放つ。
圭介が来てくれて嬉しいのに、圭介が話しかけてくれるのが嬉しいのに、この幸せな時間がいつかの別れへのカウントダウンかと思った瞬間、イヌピーからもらった灯火のような勇気も……消えてしまった。
イヌピー……イヌピーが思ってるより、私ずっと意気地なしだったみたい。引っ込んでいた涙が、またじんわりと出てきては私の視界をぼやけさせる。
きっとこの事をイヌピーに言ったら、困ったような顔するんだろうなあ。でも、どうしたらいいかわかんないよ。
「好き。──俺、ちゃんが好き」
名前を久々に呼ばれただけで、私の体は血が蒸発してしまいそうなくらい熱を持つ。
待って、うそでしょ。今、この人──私のこと好きって言った。
「……え?」
そんなまさか。あ、空耳か。もしかしたら殴られたときに三半規管やられて、都合のいい言葉が聞こえるようになったのかもしれない。じゃなきゃ意味がわからない。
「俺、ちゃんに好きな奴がいんの知ってたんだワ」
ドラケンくん処す。
本当に全部言いやがったなあんちんしょう。こんな風にして自分の気持ちがバレるとは思わなかった──というかバラすつもりもなかったのだけれど。思わぬ展開に思わず頭を抱えたくなってしまった。
いや、でも待って? 今、圭介も私のこと好きって言ったからこれってもしや両思いってこと? なの? ……えっ?
「……いつから知ってたの?」
「ずっと前から気づいてた」
「え"、うそ!」
はっず! はっっっず! 顔から火が出そ──。