【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第13章 私と圭介と二人の思いと
「私こそ……ごめっ、ごめんなさい」
「……」
「嫌な、態度とって……ごめ、んなさい」
「……ア"ー! くそっ!」
がしがしと頭を乱暴に掻いた圭介は、これまた乱暴に私のことを抱き締めてきた。思いもよらない出来事に、ダムのように流れていた涙がピタリと止まった。ついでに私の思考もピタリと止まった。……何が起こったの?
耳元から聞こえてきた彼の深いため息にどうしたものかと視線を右往左往させる。なに?
馬鹿なのは知っていたけど、ついに頭までおかしくなったの?
助けてくれた人になんとも失礼なことを考えてしまったのは、ちょっと許してほしい。
「なぁ」
「……うん?」
「元旦に言えなかったこと、今言ってもいいか?」
俺、ちゃんに言いたいことあってさ。元旦に言われた台詞が頭の中をゆっくりと駆け抜けていく。そんなことがあったのをすっかり忘れていたのと、何の前降りもなく急に現れた言葉に「え? あ、うん」と返事はしたものの、頭が追い付いていかない。
ゆったりとした動きで私から離れた圭介は、ふーっと息を吐くと綺麗な花葉色の瞳が私を捉えた。吸い込まれそうなほどキレイな彼の目は、何かを決心したような強い意志が感じられる。やっぱり私、この人が──。
「好きだなぁ」
「……ハ?」
時間にしたら三秒ほど、時が止まったような感覚に陥る。私は今、ナンテ言ッタ?
自分の失言に気づき頬が熱を持つ──なんて可愛らしいことは一切なく、冷や汗が滝のように背中を流れ落ちる。気のせいだったとかないかなぁ……ないよなぁ……目の前の圭介がすんんんごいアホ面してるもん。
「なぁ、今──」
「ごめん、忘れて」