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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第13章 私と圭介と二人の思いと


「……なんで場地さんが謝るの?」

 そんな私の言葉に困ったように笑う圭介は「ドラケンに全部聞いちまったんだワ」と言──え、全部……? と思わず目をかっ開く。
 全部ってどこまで? 私が圭介のこと好きってことも暴露されたの? おいおいおい、ドラケンくんそれはさすがにフルボッコ案件デス。

「ずっとストーカーされてたンだろ? 元カレに」
「あ、あぁ。そっちか」
「そっち?」
「ううん、こっちの話。まぁ……いろいろあって、ね」
「俺に言いたくなかったっぽいのに、勝手に聞いちまったから。なんか悪いことしたなと思って」

 相変わらず視線は合わないけれど、申し訳なさそうにしているのは声色で感じ取れる。気にしないで、とだけ伝えれば会話が途切れ……なんとなく気まずい空気が私たちの間に流れた。
 ……私から声をかける、か。イヌピーに言われたことを思い出して心を奮い立たせる。思いきり息を吸い込んで吐き出した言葉は──。

「あ、あの!」

 残念ながら裏返ってしまったけれど。

「……ありがとう、助けてくれて」
「……おー」
「お礼、まだ言えてなかった……から」

 どんどん尻すぼみになっていく私の言葉は彼に聞こえていたのだろうか……少し不安になって圭介の方を盗み見るも、バチッと視線が合ってしまい思わず肩を揺らす。久しぶりに受けた彼からの視線はあまりにも真っ直ぐで、熱くて……氷のように冷えきっていた私の心がゆっくりと溶けていくのを感じた。
 ああ──もう、だめだ。堪えきれなくなった涙がぽろぽろと溢れだし、込み上げてくる言葉が全て嗚咽となって口から漏れる。

「うっ……ひっく……」
「……ごめんな」

 そう言ってぎこちなく私の頭を撫でてくれる圭介の手に、より一層涙が溢れてきては私の手のひらを濡らしていく。彼はいったい、何に対して謝っているのだろうか。
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