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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第12章 私と圭介と万死一生と


「忙しいのはいいことだね」
「迎えが遅くなりそうだから、よくはない」
「繁盛してる証拠じゃん」
「終わったら連絡するから、近くのコンビニかどっかで待っててくれ」
「んー……いや、いいよ。一人で帰るから」
「は?」

 ちょっと圧をかけてくるイヌピーの声は、私を心配してのものだろうけど……もうちょっと優しく声かけてくれてもいいのに。とか思いつつ、イヌピーがちゃんと優しいことを知っているから嫌な気持ちにはならない。だからこそ、あんまりワガママ言っちゃいけないのかなーなんて思ってしまう。
 もう十分迷惑かけてるだろって突っ込みは受け付けません!

「だめだ、待ってろ」
「ここ最近、何もないしさ。手紙も減ったし、大丈夫だと思うんだよね」
「だめだ。何かあってからじゃ遅ぇ」
「でも仕事忙しいんでしょ?」
「即行終わらす」
「ドラケンくんに悪いよ」
「悪くねぇ」
「一日くらい大丈夫だって」

 大丈夫だと言う私に対して、絶対にだめだとかたくなに譲らないイヌピー。私強いよ? と言っても「相手が一人とは限らねぇだろ」「刃物持ってたらどうすんだ」「だいたいは──」とお説教が始まる始末。いやいや、お母さんか。
 そんな私の隣でじーっとこちらを見てくる菅野さんからの視線が何だか居心地悪くて、ロッカールームから逃げるように外へと出る。その間もお小言を放つイヌピーに対して、いつの間にこんな心配性になったんだろう? なんて頭の片隅で考えていたら「聴いてんのか?」と問い詰められてしまうはめに。すいません、聴いてませんでした。

「いつも来てもらってるから今日はお休みってことで。ね?」
「言うこと聞かねぇとぶっ飛ばすぞ」
「ちょっと。元ヤン出てるから」
「うるせぇ」
「はぁ……もう仕方ないなぁ」
「じゃあ──」

 また明日ね、そう言って通話をプツリと終了させる。電話越しにイヌピーがまだ何か言っていたけれど、このまま話していてもらち空かないし、不毛なやり取りが続くだけ……って思うと少しめんどくさくなってしまったの。ごめんよイヌピー。
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