第11章 私と圭介とイヌピーと

「ありがと、イヌピー」
「ああ。明日からは俺かドラケンのどっちかが迎えに行くから、店で待ってろ」
「うん」
「休みの日も出かけるときは連絡しろ。ずっとは無理かもしれないが、できるだけ行く」
「そこまでは申し訳ないから、休みは昼間に出かけるね」
「気にするな。ドラケンも行ってたが、ダチがヤられんの見たくねぇ」
「オブラートって知ってる？」

　いや、そんな未来は私も嫌だけどさ。言い方ってものを知っているのかね、この人たちは。

「」
「ん？」
「大丈夫。俺らが絶対守るから」
「……うん」
「怪しい奴がいたら知らせろ。全員ころ──」
「さなくていいからね。物騒な」

　私の言葉に不満そうな顔をするイヌピーに別れを告げて、一息つく。私は本当、人に恵まれている。

「……好きだよって言うだけなのに、なんでこんなに怖いのかな」

　たった４文字なのに、それを言ってしまえばこの関係性を失ってしまうから……。気づいてくれればいいのに、なんて他人任せなことばかり頭をよぎる私はズルくてせこいやつだ。

「人を好きになるって、なんでこんなに難しいのかな……」



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