【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第11章 私と圭介とイヌピーと
「このままだと私のエゴを押し付けちゃいそうで」
「ああ」
「でも本当はそんなことしたくなくて」
「そうだな」
「心が揺れて、不安定で、どこか堕ちていきそうで、それが怖くて、好きって言えない……!」
ぐずぐずと泣き出した私を見て「本当に場地が好きなんだな」と微笑むイヌピーに、何度も何度も頷き返した。
好き──心の奥底から沸き上がる衝動に胸が突き上げられる。好き、誰よりも好き。
「だけどもう遅いよ……私、嫌われたもん」
「そんなことない」
「もう声かけないって言われた」
「からかければいい」
「拒否されたらどうしたらいいの?」
「俺がブッ飛ばす」
「喧嘩は嫌だってば」
「じゃあツバ吐く」
「ドラケンくんと選手交替してもらうわ……」
どう転んでもバチボコの喧嘩が起こる未来しか想像できないので、本当にそのことが起こったら最強のピンチヒッターを召喚しよう。ドラケンくんには申し訳ないけど、これからも贔屓にするので許してもらいたい。私は平和がいいんだ、平和が。
「」
「ん?」
「お前には俺もドラケンもついてる。心配すんな」
「……うん。ありがと」
「礼は場地と付き合ってからでいい」
「イヌピー可愛くない」
「もな」
「え? なんで今、喧嘩売られたの?」
むむむ。と眉間にシワを寄せれば、声を立てずにゆるゆると笑ったイヌピーに眉間をつつかれてしまう。やっぱり持つべきものは元暴走族の幼馴染みだ。