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【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました

第11章 私と圭介とイヌピーと


「喧嘩するなっ!」
「そう言ってるちゃんが最後の一撃決めたけどな」
「ドラケンくんは黙ってて! 私は! ……私は二人が喧嘩してるとこ、見たくないの!」

 今だったら般若も逃げ出すんじゃないかと思うくらい、顔をしている自覚がある。あるけどもういい。私は人生で一度は言ってみたい台詞ランキング上位の言葉を今、ここで、使う!

「私のために争わないで!」
「ロマンスの欠片もねぇな」
「ドラケンくんは静かに! なんで殴り始めてんの!? 馬鹿なの!?」
「、奥の部屋から出てきてよかったのか? 場地と会いたくなかったんだろ?」
「もうそれどころじゃないから!」
「なんで?」
「ほぼほぼイヌピーのせいです!」

 ギャンギャンとわめきたてる私を本当に訳がわかっていない様子のイヌピーは、口をへの字に曲げて不満げなご様子。「人を殴っちゃいけません!」と言えば「どの口が言ってんだ」と三人が声を揃えて反論してきたので、うるさいと一喝しておいた。
 理不尽? 上等だよこんちくしょう。

「二人が喧嘩するとこ見たくない!」
「オマエには関係ねェだろ」

 もう名前すら呼んでくれないんだ……。
 思わぬ圭介からの一言にイラリと腹を立てるが、彼の言ってることは最もだ。私には関係ない、そんなのわかってる。わかっているけど、私はそんな物分かりのいい女じゃないの。

「二人とも馬鹿だし! アホだし! すぐ手が出るし! いいとこと言ったら顔面ぐらいだし!」
「俺らはに喧嘩売られてんのか?」
「わかンね」
「そんなどうしようもないやつらだけど! 知り合い同士が殴ってんの見て喜ぶ人がいるわけないでしょ! そんなこともわかんないの!? だから馬鹿なんだよ! 馬鹿! 大馬鹿! この世の終わりぐらい馬鹿だわ! 馬鹿」
「世紀末かよ」
「ドラケン、セーキマツってなに? デーモン?」
「そのセイキマツじゃねーから」
「、馬鹿って言った方が馬鹿なんだ。知ってたか?」

 減らず口ばかり紡ぐのは誰だ、と言わんばかりにイヌピーのほっぺをつねりあげる。全然痛そうな素振りもなく「痛い痛い」と言うものだから、更に力をこめようとしたが止めた。
 おとなしく手を離した私の顔をいぶかしげに覗きこんできたイヌピーの顔に頭突きをかます。そうだよ、当たり前じゃん……。
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